ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2004年8号
SOLE
SOLE報告

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

AUGUST 2004 82 可視化、取引企業を巻き込んだ商品開発、CPFRなどなど。
ただコンセプトは良いのだが、実態としては思ったより進度は遅 い。
やはり対立の構図(小売―卸、卸―メーカー)から抜け出てい ないということであろう。
4,取引制度 現行取引制度の問題点として、特約店制度、最低発注ロット数、 決済条件、リベート、販促費などを挙げることができる。
最近の取 引制度改革の方向としては、特約店制度の見直し(廃止)、支払い制 度の簡素化、販売実績評価の廃止、物流・発注・決済条件の整備 (直取引化)、購買機能リベート(EDIによる発注・情報・決済・在 庫・無返品など)の導入などがある。
5,カテゴリーマネジメント カテゴリーマネジメント自体は新しい考え方ではなく、商圏と消 費者を理解することから、小売商売を見直す、商売の原点を教える ものである。
方法として新しいのは、そのための手順を決めて、コ ンピュータを使ってデータ分析することだ。
「カテゴリーマネジメン トは、消費者価値の提供に焦点を当てることによって、売り上げや 利益の向上を促進するためのプログラム」と言うことができ、小売 業が生き残る、勝ち残るために必要なものである。
カテゴリーとは日本語では「範疇」とか「部類」といった言葉に 該当する。
例えば、赤ちゃんのために紙おむつを買いにくる人は、 同時に沐浴剤、ミルク、おもちゃ、ベビー・ローション、綿棒など を購入する。
こうした購買活動の対象となる商品は、すなわち「関 連購買」、「関連陳列」、「グルーピング」あるいは「くくり」と表現 できる。
こうした商品群を消費者にとって見やすく、わかりやすく、 買い易い売り場にするとともに、必要性を思い出させたり、関心や 興味を持たせることで需要の維持・増加を図るのがカテゴリーマネ ジメントである。
カテゴリーマネジメントを進める力は、消費者の変化、競争のプ レッシャー、経済と効率性の統合、ITの進歩、変化する小売業とサ プライヤーの関係(知的サポート)、ECRなどがあるが、とりわけIT の影響は大きい。
特にRFIDの実用化が大きい。
おわりに どれほど有効なシステムがあっても、それを運用するのは人であ って、それぞれが違う方向を向いていたり、目的意識が統一されて いなければ良い結果は生まれない。
サプライチェーン全体を最適化 するためには企業間及び企業内で共通認識を持つことが重要だ。
消 費者無視の製・配・販による対立(マージンの取り合い)の時代は 終わり、三者の協調(Win-Winな関係)による、消費者への価値の 創造こそサバイバルのために必要なことである。
7月のフォーラムは7月23日に開催され、東京電力の花村信氏 (防災グループマネジャー)による「電力のロジスティクス」と題し た講演が行われた。
その内容は次回ご紹介する。
8月は米国で国際ロジスティクスシンポジウム・SOLE2004が開催 されるため、SOLE東京支部のフォーラムは休み。
9月のフォーラム でSOLE2004に関する報告を行うことを予定している。
このフォーラムは基本的に年間計画に基づいているが、単月のみ の参加も可能。
その場合、1回の費用は6,000円。
参加希望の方や SOLE東京支部の活動内容に関するお問い合わせはSOLE_consult@ jmac.co.jpまで。
SOLE報告 The International Society of Logistics 次回フォーラムのお知らせ SOLE東京支部では毎月「フォーラム」を開催し、ロジスティクス 技術、ロジスティクスマネジメントに関する活発な意見交換、議論 を行い、会員相互の啓発に努めている。
前回のフォーラムは6月18日に開催され、日本能率協会コンサルテ ィングの経営能力開発インストラクター、田中良知氏の講演「日 用・雑貨品業界の流通」を聴いた。
以下、講演の概要を紹介する。
*       *       * はじめに 本日は私が長い間勤めていたジョンソン・エンド・ジョンソン (J&J)での経験を交えて、「日用・雑貨品業界の流通」と題して 同業界の現状と諸問題について解説したい。
1,J&Jのエピソード 救急絆創膏「バンドエイド」など多数の消費者向け商品で有名な J&Jはまた、「我が信条」という文章の存在によっても知られてい る。
これは1943年に文章化されたもので、分権経営に基づく個別事 業会社(51カ国、190社)全体を世界最高・最強のヘルスケア企業と いうゴールに向かわせるための“のり”あるいは“にかわ”の役割 を果たしている。 「我が信条」では責任の序列を第一に「顧客」、以下「全社員」、「地 域社会」、「株主」としている。
いかに「顧客」を大切にしているか を示すエピソードとして、「タイレノール」事件を挙げることができ る。
1982年に同社の主力製品である家庭用鎮痛解熱剤「タイレノー ル」にシアン化合物を混入され、シカゴで7人の死者を出したとい う事件である。
この事件が発生したときJ&Jは、一貫して「顧客 No.1」の姿勢を崩さなかった。
マスコミを通じて積極的に情報を公開し、「タイレノールを絶対に 服用しないで」という新聞広告を掲載した。
消費者からの問い合わ せに即答するため多数の専用回線を設置し、店頭および家庭にある すべての製品を回収した。
社員に事件の進捗状況を1日3回のテレビ 放映によって報告し続けた。
さらにCEOが陣頭指揮する対策チーム を設置したときには、チームは危機管理のプロ6人による補佐を受 けた――。
こうして徹底的に透明性を重視する企業姿勢を貫いたこ とで、同社は短期間に顧客の信頼を回復することができた。
2,ECR(効率的な消費者への対応) ECR発生の背景には従来型のサプライチェーンが上手く機能して いなかったことがある。
消費者は賢くなり、品揃えの豊富さ、より よいサービスと品質、しかも安く、早く、分かりやすい店を求めて いた。
米国では「価格」が決め手であったが、価格にはサプライチ ェーン上の全てのコストが上乗せされていることから経営効率の向 上が求められ、QRをベースに生まれたECRが効率性と有効性を達成 する有用なツールと認識されるようになった。
ECRは93年に北米で誕生し、その後ヨーロッパやアジアなど世界 中で行われるようになった。
日本でも一部でECR日本を設立する動 きがあったが、これは定着しなかった。
3,Eコマース 消費財の商取引のグローバル化を加速させる要素に、Eコマース、 取引制度、カテゴリーマネジメントがある。
「安くて」、「良い物/欲しい物」を「今すぐに」という消費者の期 待を担ってEコマースの代表であるB2Cが発展してきた。
一方、企 業間取引を扱うB2B市場も拡大し、各種のサービスが試みられ、多 くの可能性が見えている。
たとえば、オークション形式の価格交渉、 商品情報の電子カタログ化、オンライン調達、サプライチェーンの SOLE東京支部フォーラムの報告

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