ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2003年2号
ケース
UPSサプライチェーン・ソリューションズ――在庫削減

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

47 FEBRUARY 2003 ITバブル崩壊で何を学んだか OEM型の企業(本稿では他社メーカーの 製品を購入し、それをユーザーのニーズや好 みに合うよう組み立てや仕様変更をおこない、 自社ブランドで販売する会社を指している) がコア・プロセスを外注化するようになり、 エレクトロニクス産業の様相は一変した。
こ れによりOEM型企業は生産性を向上させ、 研究開発やマーケティングに全力を傾注でき るはずであった。
しかし実際にはサプライチェーンにまつわ る新たな課題が生じただけでなく、メンバー の相互関係が複雑化するという事態をも招く こととなった。
そのため、生産環境の変化に 応じた戦略的見直しが必要だというのに、あ くまで近視眼的なサプライチェーン改革に終 始している光景を、われわれはしばしば目に してきた。
エレクトロニクス業界に身を置く企業の財 務体質は弱い。
OEM型企業は、財務的に不 安定なパートナーとの協働を余儀なくされて いる。
OEM生産を受託するメーカーは各々 の得意分野に特化することで製造工程の合理 化を図ってきたにもかかわらず、その効果は 数字上に現れていない。
「ティア1(一次調達先)」に位置する企業 であっても、ここ数年で黒字を計上している のは数える程度である。
過去五年間にわたり、 すべてのティア1企業と多くのOEM型企業 グローバル3PLが主導する 電機業界における「多階層VMI」 従来のVMI(ベンダー主導型在庫管理)は、 単なる在庫責任の“押しつけ”に過ぎない。
実際、VMIを導入しても調達先まで含めたサプ ライチェーン全体の在庫は全く削減されてい ない。
本質的な問題解決が必要だ。
「多階層 VMI」によって、それが実現できる。
UPSサプライチェーン・ソリューションズ ――在庫削減 FEBRUARY 2003 48 この業界に必要なのは、言うまでもなく、戦略的なサプライチェーンの合理化である。
しかしこの方向を押しすすめ、商品を市場に 流す方法を一新することが、いったいだれに できるのだろうか? グローバルSCMの重要性 サプライチェーンの諸問題に加え、製造・ 組立拠点も移動しつつある。
製造・組立の中 心は、北アメリカからメキシコ・東欧へ、そ して今や中国へと移った。
この動きに対応す るには、戦略的のみならず、グローバルなサ プライチェーン・ソリューションが求められ る。
各地方の3PL業者と工場倉庫の組み合 せだけでは、在庫ビジビリティが貧弱になり、 配送経路も複雑化してしまう。
在庫場所が世 界中に散らばり、需要に応じた在庫量の調整 がむずかしいなどの結果を招く。
さらに、中 国のような新興地域への投資が必要となるが、 果たしてそれが長期的利益を生むかどうかは 定かではない。
まずは現行のサプライチェーンを見てみよ う(図1)。
製品を市場へ流すのには多くの チャネル・パートナーが関わり、そして多様 なソリューションがある。
パートナー間で製 品を移動する際、輸送途上で停滞してしまう ことがしばしばである。
積み替えや混載作業、 税関検査待ち、入出荷作業の遅れ、などが原 因である。
こうした要因はすべてリードタイ は、適切な投資利益率を達成できていない。
拡大にともなう収益改善と、「規模の経済」 の効果が期待されたが、ともに実現されてい ない。
原因のひとつとして、効率的な在庫・サプ ライチェーン管理の失敗を挙げることができ る。
ここ数年、過剰在庫や在庫不足、適正在 庫ではあるが不適切なロケーション、もしく は逆にロケーションは良いが在庫量が多い、 といった共通の問題が見られる。
なんらかの改善策が必要とされていること は明らかである。
近い将来の回復が望まれる にせよ、不況のまっ只中中にいる現在、サプ ライチェーン変革の気運は盛り上がっていな い。
そこで、次のような疑問が浮かぶ。
・近年のバブル経済崩壊から、われわれは何 を学んだのか? ・同じ過ちを繰り返さなければならないの か? ウォール・ストリートは、この業界に非常 に厳しい目を向けている。
短期的利益計上へ のこうした強い圧力は、サプライチェーン・ デザインに際し近視眼的決定が下される誘因 となる。
サプライチェーンの諸問題を解決す るのに戦略的な再構築を目指すのではなく、 単に一方的な値下げ要求に終始するというこ とが、エレクトロニクス業界ではあまりに多 いのである。
54 days 84 days 1 days 56 days 7ー11 days 51 days 7ー11 days 14ー21days 7ー10days 7ー14days 30 days 4ー8 days EMS OEM 7ー15 days チャネルパートナー 完成品倉庫 サプライヤ 物流業者 流通業者/消費者 図1 サプライチェーン上のトータル在庫は製品寿命をも上回っている  49 FEBRUARY 2003 務諸表に現れている自社在庫の日数は、五〜六日間である。
一見したところデルは、と言 うよりもデルのみが、在庫問題を解消したか のように思える。
しかしながらよく見てみると、サプライチ ェーン全体としての在庫は、なんら改善され ていないことがわかる。
VMIでデルに部品 を供給するサプライヤーや受託生産者に、在 庫負担を巧妙に丸投げしているだけだからで ある。
VMIで在庫問題は解決しない。
それ はただ、在庫所有権を移管するに過ぎないの である。
需要が低迷している故に、サプライヤーた ちはVMIに飛びつくのかもしれない。
しか し数年前のような供給不足にふたたび陥った ら、どうなるだろう? 
錬釘祐覿箸呂海離 リューションを享受し続けられるだろうか? 必要なのは在庫の移管ではなく、本質的な 問題解決に焦点を置いたソリューションであ る。
在庫の管理と削減に力を入れたソリュー ション。
それはすべての企業に益するもので あり、であるからこそ、ビジネス環境の変化 にかかわらず存続しうるのである。
集中在庫補充の効果 米国内のVMIロケーションへ通常どのよ うに製品が配送されるか、アジアからの場合 を例にとって見てみよう。
サプライヤーとし てVMIに参加すると、工場所在地へ直接納 入することを余儀なくされる。
したがって数 多くの仕向地や在庫場所が発生し、在庫ビジ ビリティ(可視性)確保のための様々なIT システム(すべてのVMIロケーションに在 庫ビジビリティがあるとして)整備も必要と なる。
在庫拠点集約に多くの利点があることを、 われわれは見出した。
サプライヤーにとって みれば仕向地はひとつ、在庫場所もひとつ、 ビジビリティ確保のためのITシステムもひ とつで間に合う。
工場への出荷作業が簡素化 され迅速かつ安定的な供給が実現し、VMI における過大な在庫を削減できる。
ハブの集約化で、従来のVMIハブよりも 総体としての在庫削減が実現するのは、様々 な工場からの様々な需要という不確定性を緩 和しやすくなるからである。
エレクトロニク ス業界の需要予測は非常に難しいとは言え、 必ずしも全工場で同じ需要が一斉に発生する とは限らない。
ある工場での需要増は別の工 場での需要減と相殺されるため、全体として の需要を把捉するのが容易になる。
これによ り、適材・適所・適時という条件を満たしつ つ、なおかつ在庫レベルを平均需要に合わせ ることができるわけである。
集約のいまひとつ大きな利点は、在庫管理 の一元化が可能となることである。
?経験 則〞に立脚した大雑把な予測ではなく、需 要・供給・リードタイムなどの不確定性を数 量化し、それに基づいた在庫量の設定ができ るようになる。
ムの増加につながる。
それと同時に不確実性 をも増してしまうことが、より大きな問題で ある。
さらに重要な課題が、安全在庫という名の 過剰在庫である。
手元の在庫は、安全在庫の 必要性によって生じる。
もともと安全在庫は、 需要と供給における不確定性・不安定性に起 因するものである。
工場の責任者であればだ れもが言うように、原材料の補充と需要に不 確定要因がつきまとうからこそ、生産ライン の停止という万一の事態を避けるため、在庫 積み上げが実施されるのである。
従来のサプライチェーン・マネジメントの プロバイダーであっても、供給面の不確実性 を改善することはできる。
しかし見落とされ ているのは、過剰在庫を生み出す最大の原因、 すなわち需要の不安定性である。
現行のサプライチェーンの影響を具体的に 示すため、図1のサプライチェーンにおける 在庫期間を見てみよう。
サプライチェーン全 体の在庫量は二〇〇日を超えている。
そして この業界の大部分の製品は、二〇〇日を超え ると寿命を迎えてしまうのである。
今まで在庫ソリューションは、残念ながら 文字通りただのVMIに過ぎなかった。
OE M企業は受託生産者に対して、そして受託生 産者はサプライヤーに対して、それぞれの工 場の近辺に在庫を持つことを強要し、つまり は在庫の?丸投げ〞をしていたわけである。
一例を挙げれば、デル・コンピュータの財 FEBRUARY 2003 50 この数量化アプローチを、図2で実際のサ プライチェーンのデータに即して安全在庫に 適用してみよう。
図2では供給とその不安定 性、需要とその不確定性をそれぞれ変数と見 なすと、サプライヤーには九日間に九万ユニ ットの製品が必要となる。
サプライヤーがこ のVMIネットワークにサイトを増やすごと、 在庫量もそれに正比例して増加する。
つまり この例で言えば、サイトが五つなら五×九 万=四五万ユニットとなるわけである。
しかし図3のような在庫集積ポイントを設 ければ、そこからの迅速・確実な補充によっ て、VMIハブにおける在庫を一日分以下に 圧縮できる。
その場合でもサイトが増えれば 在庫も増えるが、増加率は逓減するか、もし くはサイト数の平方根で済む。
需要の不確定 性が、在庫集約で吸収されるのである。
この 例で言えば、在庫は四五万から二四万一〇〇 〇へ、四六%の削減となる。
結果は以下のようになる。
・需要に対応するための在庫は、四六%削減 される ・在庫削減は資本の余裕を生み、在庫関連費 用が下がる ・輸送費用は二四%増える ・だがトータルでは、ロジスティクスコスト が三四%下がる 実質的な在庫の削減で、資金に余裕が生ま れる。
この部分の在庫関連費用が不要になる ことで、たとえ輸送費用が増えたとしても、全体としてのロジスティクスコストは下がる ことになる。
ITを利用した物流機能の強化 在庫管理の一元化が有効性を発揮するポイ ントは、輸送中のものに関する情報と、倉庫 内の顧客別情報である。
実際にわれわれが整 備したサプライチェーン・ビジビリティ・ツ ールは、輸送中の在庫ビジビリティのみなら ず、到着予定日時に影響を及ぼす可能性のあ るイベントをも、警告するシステムである。
このシステムが機能することで、入荷スケジ ュールの管理が可能となり、到着時間の不確 実性が一掃される。
倉庫における在庫のビジビリティは、従来 考えられていたものでは不十分である。
VM Iの一元化のため、WMS(倉庫管理システ ム)には、それぞれのSKU(在庫商品識別 番号)だけではなく、多元的な在庫検索機能 が求められる。
当該部品のサプライヤーだけ が、まだ倉庫内で割り当てられていない在庫 を知る機能を与えられる。
在庫が特定のEMSに割り当てられるとと もに、それぞれに付与されたSKUによって、 そのEMSは当該在庫のビジビリティを得る。
さらに、しかるべきOEM企業も、注文内容 を決めるのに必要な在庫情報を共有する。
こうしたWMSによる集中倉庫を利用する ことで、物理的な移動なしに、ゆるやかな割 り当てで在庫をバランスさせることができる。
割り当てが決定するまで付加価値サービスを あえて行わないことも、汎用性を保持したま まの在庫をより多く確保する一助となる。
部 品のカスタマイズをコントロールすることに 加え、このことが、集約による在庫削減の効 果をいっそう高めることになるわけである。
サプライチェーン合理化の効果を、実際の 事例で検証してみよう。
最初はマレーシアと シンガポールに製造拠点をもつ、業界大手の 半導体メーカーの例である。
全世界への配送拠点として、われわれはシ ンガポールに四万六千平方メートルにも及ぶ セントラル・ハブを設けた。
その効果はサイ クルタイム六○%減、在庫額二五〇〇万ドル (約三〇億円)圧縮、在庫関連費用三〇〇万 ドル(約三億六〇〇〇万円)削減となって現 れ、ロジスティクスコスト全体では約一五% の削減が実現した。
次の例はコンピュータ企業で、われわれは ケンタッキー州ルイヴィルに部品配送センタ ーを設置した。
この顧客は設備、システム、 人員など、すべてを自前で行っていた。
在庫 所有権の移管を含め、先進的な取引システム の構築や部品の調達を包括的に委託できるパ ートナーを求めていた。
当社が全製品にわた る販売後のすべてのサポートを任された。
UPSサプライチェーン・ソリューション ズの二つの部門、UPSロジスティクス・グ ループとUPSキャピタルが実際の業務を担 51 FEBRUARY 2003 当し、次の成果を得た。
すなわち在庫額の七 〇%減(四四〇〇万ドルから一三〇〇万ドル へ)。
サービスレベル三〇%アップ。
生産性 一〇〇%向上である。
目まぐるしく変化する今日の経済情勢にお いて、ありきたりのサプライチェーン・ソリ ューションでは万全とは言えない。
サプライ チェーンにおける昨今のグローバルな課題に は、グローバル・サプライチェーン・ソリュ ーションが必要である。
さらに、グローバ ル・サプライチェーン・ソリューションには、 グローバル・サプライチェーン・パートナー が欠かせないのである。
※本稿は米UPSサプライチェーン・ソリューショ ンズ社のJIM Fitzhugh 副社長が二〇〇二年のC LMで発表した論文を、同氏の許可を得て本誌が 翻訳したものです。
VMI 90k 2hrs Plant 5kー15k VMI 90k Plant 5kー15k VMI 90k Plant 5kー15k VMI 90k Plant 5kー15k VMI 90k Plant 5kー15k Supply 10ー 20 day lead 3ー7days 図2 工 場 安全在庫 450k 需要 25k−75k VMI 8k 2hrs Plant 5kー15k VMI 8k Plant 5kー15k VMI 8k Plant 5kー15k VMI 8k Plant 5kー15k VMI 8k Plant 5kー15k Supply 10ー 20 day lead 3ー7days 1day 図3 安全在庫 40k 安全在庫 201k 安全在庫 450k VS. 需要 25k−75k 工 場 中央ハブ トータル在庫 241k EXE TECHNOLOGIES 〒279-0012 千葉県浦安市入船1-5-2 明治生命新浦安ビル 企業の収益向上 、売上の拡大に 直接寄与する経営合理化ツール 全世界500社以上に実績を持つベストプラクティスを導入する あらゆる業界で求められているロジスティクス・システムのニーズに適応するエクシード・ソリューション バリューチェーンを構築する ビジビリティー可視性 ベロシティースピード バリュー・アッドー付加価値 これら3つのVを提供することによって、顧客の価 値を創出し、バリューチェーンを経営パフォーマン スの形で、より高いROIを実現。
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