ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年3号
特集
物流資産は誰が持つ 「物流不動産屋として日本に土着する」

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2005 22欧米モデルは機能しなか た 本格的な事業開始から三年あまりで倉庫の着工面積が一〇〇万平方メ トルを超えました かなりのスピ ドでや てきたという認識はありますが 今後はさらにスピ ドを上げていきたい 一〇〇万平方メ トルを着工したとい ても日本国内の賃貸倉庫に占めるシ アはごくわずか コンマ以下の世界です これを三〇〇万 五〇〇万平方メ トルに増やしたところでシ アは知れている しかしプロロジスの参入によ て 日本の物流不動産市場は大きく変わりました 予想通りですか 全てが予想通りにな たわけではありません 当社は日本には九九年にオフ スを構えましたが 当初は日本の物流業界に全く受け入れられませんでした 欧米で展開していたビジネスをそのまま日本に持ち込んだものの機能しなか た 欧米のモデルとは? 例えば契約書一つと ても当初は全て英語 しかも契約期間は何年以上でないとダメ 保証金は一年分積んで下さいとい たような 今考えれば生意気なやり方をしていました それが欧米では当たり前だと言 ても日本では受け入れられない そのことを米国の本社を説得し理解させて ビジネスのやり方を修正しました 米国から人を呼ぶのではなく 日本の物流業界や建設業界 不動産業界を熟知した日本人によ て運営する 契約書も日本語 契約の仕方や慣習も日本に合わせる そうい たプリミテ ブな作業を一つひとつ積み重ねることで ようやく事業が動き出すようにな たんです それでも投資フ ンドのスキ ムは欧米流です 少なくとも私には当社が投資フ ンドだという意識はありません 証券化ビジネスをや ているつもりもない あくまで 物流不動産屋 という認識です 実際 当社の大部分の人間は不動産開発に携わ ています もちろん社内には金融スキ ムを担当する人間もいますし 最近では不動産金融工学などと言われることもありますが 実態としてはそんなにアカデミ クなものではありません も と泥臭い商売です 立地や接道状況を判断して良い不動産を仕入れる そこにテナントが使いやすい効率的な施設を建てる しかも容積率を目一杯使おうとすれば 多層階になる そこには複数のテナントが入ることになるため テナント同士の動線が交わらないように設計する そんな施設は日本にしかありません 欧米はどこも平屋です そういう意味からも当社は欧米のモデルを持ち込むのではなく 全て日本のお客様から教えていただいて そこに私どものアイデアを加えて開発してきました 一般の日本人はまだ外資系フ ンドに対する警戒感や嫌悪感を否定できません 外資系投資フ ンドとい ても我々は ハゲタカ フ ンドと呼ばれるような 日本で荒稼ぎして本国に帰るというビジネスをしているわけではありません 実際 当社はお客様と一〇年から二〇年というスパンで契約を結んでいる 日本市場にべ たりと土着しています そもそも不動産とはそういう商売です プロロジスの展開を見て 他の投資フ ンドも続々と物流不動産市場に参入してきました ただし決定的な違いがあります 実際に運用している人たちの顔ぶれを見ると 他の金融系フ ンドは大部分が商業施設のフ ンドを手掛けてきた人たちです 物流の専門家ではありません 当社は欧米でも日本でも物流不動産しかやらない それしかできません その代わり物流不動産事業に必要な機能 土地の調「物流不動産屋として日本に土着する」Interviewプロロジス 山田御酒 マネージングディレクター兼日本共同代表わずか3年あまりで日本国内に21拠点・約100万平方メートルの倉庫施設を開発。
投資総額は約1760億円に上っている。
今後も新規開発の手綱は緩めない。
並行して施設の運用事業を強化し、物流不動産の担い手として日本市場に深く根付こうとしている。
(聞き手・大矢昌浩) 物流資産は誰が持つ 特集 
横 MARCH 2005達から施設の企画・開発 設計 運用までの機能をフルラインで社内に持 ている これは我々だけです 投資の回収方法 いわゆる出口戦略にも違いはありますか 他のフ ンドの多くはREITとしての上場や売却をゴ ルにしています しかし当社はREITからスタ トとした事業会社です 上場や売却ではなく施設の運用で利益を上げていくことが使命です そのため資産もあくまで持ち続ける 実際 私は米国本社の執行役員会にも出席していますが 売却する話は一つもない 土地相場の変動も眼中にはありません 開発した施設を売 てしまえば確かに利益は出ます しかし毎年 新規物件を五〇〇億円から一〇〇〇億円も開発し続けるのはさすがにしんどい 無理にリスクをとらなければならない場面も出てきます そういうプレ シ は我々にはありません 環境に応じて展開のスピ ドを自分で調整できる それが物流不動産を当社が資産として所有する理由でもあります 仮に土地の値段が上が て新しく作 ても賃料が合わないという事態になれば 当社には新規開発をやめるという選択肢もある 既存資産の有効活用に事業の中心を転換する 既に欧米ではそうした事業のほうが圧倒的に大きな割合を占めるようにな ている 日本でも今後は新規開発だけでなく 既存の施設の運用の比重が大きくな てきます 競合の登場は脅威にはならない? マ ケ トが認知されるのは歓迎ですが 土地の取得という点では影響はある 三年前には日本で大規模な物流不動産を購入しようという会社など当社以外にはどこもなか た それが現在は 有望な土地は入札にな てきている それだけ購入価格も高くなる それに対して倉庫の賃料相場は低下あるいは横這い傾向にあるので 単純に計算すれば利回りは下がる それでも当社は日本の土地の使い方や施設の作り方が格段に上手くな てきている 日々進化しています これによ て同じ不動産でも収益性は全く違 てくる 設計の工夫で床面積を二%大きくする 設備を工夫して坪二〇〇円だけ高く賃料を設定する そうした小さな積み重ねが利回りに大きく影響してくる 今年中に大勢は判明 今後 日本で事業規模を拡大していくに当た て 制約になるのはやはり土地の取得ですか 物流施設の場合は一般の商業施設と違 て代替地が見つけやすい 大まかなエリアは決ま ていても ピンポイントで ここでなければダメということにはなりません そのため高くな たとは言 ても土地の取得自体はそれほど制約にはならない それよりも 施設を使 ていただくテナントの確保 そしてサ ビスを提供するための人材の確保が何より重要になります 当社はこれまで日本市場になか たビジネスを展開しているわけですから 即戦力の経験者を採用することはできない 社内で育てるには時間がかかる 物流不動産ブ ムにリスクがあるとすれば? ほとんどの物流不動産フ ンドは現在 まだ結果が出ていない段階にあります 今後は土地を購入し建物も作 た しかしテナントが確保できない とい たフ ンドも出てくるでし う そうした局面を日本はまだ経験していない しかしその場合にも 当社なら値段次第でそのフ ンドから物件を購入するという検討ができる 既に欧米ではそうした案件をいくつも処理してきている 結局 最後にはテナントを確保できるところだけが残る それも今年い ぱいで大勢が見えてくるはずです プロロジスの概要  本  社  米国コロラド州オーロラ  
叩。
邸。
蓮 ジェフリー 

 シュワルツ  創  立  1991年(日本法人は1999年)  従業員数  760人(同50人)  事業規模    総保有資産額  約7808億円    総運営資産額  約1兆7468億円(同1760億円)    運営倉庫数  16カ国72地域      計1994棟(同21棟)    運営延床面積  2770万平米(同103万平米) PROFILEやまだ・みき 
隠坑毅廓生まれ。
早稲田大学商学部卒。
フジタの国際事業部門を経て、2002年にプロロジス入社。
開発担当ファーストバイスプレジデントに就任。
2004年、ファーストバイスプレジデント兼日本共同代表。
2005年、マネージング・ディレクター兼日本共同代表。
現在に至る。

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