ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年3号
特集
物流資産は誰が持つ 「オフバランス化したら儲からない」

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2005 24道具は安い方がいい 物流センタ を新設する場合 土地や建物を自社で購入するか それとも第三者から借りて用意するのか どうや て判断すればいいのでし うか? 答えは簡単 物流サ ビスでお客さんからもらえる料金は決ま ている その中から利益を捻出するためには安いコストでセンタ を運営していくしかない 買 たほうが安いのか それとも借りたほうが安いのか コストが安く済むほうを選べばいいだけ お客さんにと て 建物が立派なセンタ だろうが オンボロなセンタ だろうが どうでもいいことなんだ お客さんは最終的に自分たちの支払うコストがどのくらい安くなるのか そこにしか興味を持 ていない 本来 物流業者は何億円という総工費を自慢するのではなく どれだけコストを低く抑えてセンタ を運営できるかをお客さんにアピ ルすべき とにかくコストが安ければいいわけですか? そもそも物流業にと て土地や建物というのはサ ビスを展開していくうえでの 道具 にすぎない 道具は安いほうがいいに決ま ている 物流というのはコスト競争だから道具にカネを掛けすぎると不利になる どんな業者でも道具代よりも安い料金の見積もりを出すことはない コンペで勝てるのは道具代を低く抑えられた業者になる 物流業者の多くはこれまで土地や建物を 資産 として捉えていた だから投資判断を誤 てしまう 物流業は不動産屋ではない 土地の値上がりを期待してはいけない 本業で儲けること つまりセンタ という道具を使 て営業利益を高めることだけを考えていればいい バブル期には荷主が決ま ていないのにセンタ を建ててしまう物流業者も少なくありませんでした まさに土地や建物を 資産 として見ていて 買えば儲かると思 ていたからそういう現象が起こ たのだろうね 土地を買 てそのままにしておくのはも たいない 物流センタ でも建てておけ 物流で儲からなくてもいい 値上がりしたら土地を売 て儲ければいい 多くの経営者はそういう発想だ た 本来 物流センタ というのはお客さんが決ま てから建設に取り掛かるのが原則だ お客さんがどういう商品を扱 ているのか どういう作業を必要としているのか そうした情報を加味したうえでセンタ を建てないと 安いコストでオペレ シ ンできるはずがない 先にセンタ を建ててしまうと お客さんのニ ズに合わせるために後で改修が必要にな たり 作業員の動線に無駄が生じたりして効率が悪くなる お客さんがなかなか見つからないと 空気で埋めておくよりもましだろう と考えて採算割れの料金で荷物を預かるようになる お客さんは料金が安いと これはいい という話にな て なかなかセンタ から出て行こうとしない いつまでも居座られると その間 物流業者は赤字を垂れ流し続けることになる そのうち土地の値段も下が ていき 売るに売れなくなる とい た悪循環に陥る ハマキ ウはどちらかというとこれまで自前で物流センタ を用意してきました 現在 自社物件と賃貸物件の割合は八対二くらいかな 自社物件のほうが圧倒的に多い あるお客さんとの契約が決まり 物流センタ を建てる場合に そのお客さんとの契約が終了しても 次のお客さんがすぐに見つかるくらい立地条件がよければ 原則として自分たちでセンタ を手当てしている 反対に次のお客さんが見つかりそうもない立地条件の悪いセンタ は「オフバランス化したら儲からない」Interviewハマキョウレックス 大須賀正孝 社長ハマキョウレックスが運用する物流センターの8割は自社物件だ。
不動産ファンドや金融機関からオフバランス化を提案されても全て断っている。
土地や建物の値段が底値にある現在の環境では、賃貸するより資産として持ったほうがトータルコストを低く抑えられるからだという。
(聞き手・刈屋大輔) 物流資産は誰が持つ 特集 
横 MARCH 2005賃貸にしている 例えば 三〇年間お客さんが入り続ける可能性の高い立地条件のいいセンタ があるとしよう こういうセンタ を三〇年間賃貸で使 ていたら 自社で建てるよりもト タルコストが高くな てしまう いまは立地条件のいい物件が比較的安い値段で手に入る 低コストを追求した結果 自社物件が増えた 自社物件が増えていることにリスクを感じませんか 今後 土地の値段が下がる可能性もあります 一般に物流センタ は三〇年で償却する これに対してウチの会社では半分の一五年でペイするかどうかを判断している 他社よりも厳しい基準で購入するかどうかを決めているから 無駄な買い物はしていないという自信がある 償却期間を一五年で設定しているのは 物流の世界では三〇年間取引を継続してくれるお客さんなんてまずいないし 技術の進歩などがあ てセンタ の機能そのものも陳腐化していくから 三〇年間 毎年一定の金額で償却していくというのはどちらかといえば不動産屋的な発想で 競争や変化の激しい物流業には馴染まない 資産のオフバランス化を目指し 賃貸物件の割合を高めようとしている物流業者が増えています その流れと逆行していませんか? 不動産フ ンドや金融機関に センタ を売却・証券化してオフバランス化しませんか と勧められるが 今のところすべて断 ている 確かに拠点を売却すれば 一時的にカネが手に入る ただし い たん売却して同じ拠点を使う場合 今度は賃料が発生する 賃料というのは自分でセンタ を購入して償却していく費用よりも割高になるため 売却前よりもコスト負担が増す 自社物件よりも儲かりにくくなることを忘れてはならない 自社だろうが 賃貸だろうが お客さんからもらえる料金は一定だからね 賃料が収益を圧迫して赤字になれば結局 売却で得たカネを使 て穴埋めする羽目になる そうこうしているうちに 穴埋めするためのカネも底をついてしまう 資産を失 たうえに利益も出せないなんて そんなバカバカしい話はない 今や土地は底値 オフバランス化には落とし穴がある? 立地条件が悪くてなかなかお客さんが見つからないセンタ を引き取 てくれるのであれば大歓迎だ しかし不動産フ ンドが目をつけているのは立地条件のいい物件ばかり 彼らも安定的な賃貸収入が見込めないとビジネスが成り立たないからね いい場所はよこせ でも悪い場所はいらないよ というのではあまりにも都合が良すぎる 物流業は基本的にアセ ト 資産 を持 て商売すべきなのでし うか? 最初にも説明したけれど ケ ス・バイ・ケ スだと思う ただし いまは自社物件で商売しやすい環境にあるのは確か 土地 建物の値段は底値にあるからね 長期にわた てお客さんが入居する可能性の高い立地条件のいい物件 例えば関東地区のように倉庫を埋めやすい場所では自社で購入すべきだと思う 賃貸物件は使い勝手が悪いケ スが少なくない 例えば 老舗の倉庫会社が保有している 償却の済んだ古い倉庫の多くは保管型が中心で 通過型の作業には適さない 保管型の倉庫を通過型として使おうとしても機能的に無理が生じてコストダウンが進まない 賃貸する場合は こちら側のニ ズを伝えて それに合 た仕様のセンタ を新たにつく てもらい それを借りるべきだ PROFILEおおすか・まさたか 
隠坑苅映静岡県浜北市生まれ。
56年北浜中卒、ヤマハ発動機入社。
青果仲介業などを経て、71年に浜松協同運送を設立。
92年に現社名の「ハマキョウレックス」に商号変更した。
2003年3月に東証一部上場。
静岡県トラック協会副会長物流拠点の割合は自社物件が8に対して賃貸が2。
立地条件がよく、すぐに荷主が見つかりそうなエリアでは自社でセンターを用意している(写真は浅羽センター)

購読案内広告案内