ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2005年4号
ケース
日立物流――共同物流

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

APRIL 2005 483PLの新しいアプロ チ物流の共同化をどんどん進化させていくと 業界プラ トフ ム というモデルに行き着く ライバル関係にある複数の同業企業が同じ物流インフラに相乗りして 一社単独では成し得ない効率化を実現するという考え方だ 結果として 荷主にと てモノの移動は差別化要因ではなくなり 製品開発などの分野で競い合うようになる 発想そのものは目新しいものではないが これを理想的なかたちで実現できている業界はほとんどない 商流の絡む話であれば 卸売業界の寡占化によ て業界プラ トフ ムを実現している出版業界のような事例がある ただし 出版業界の物流共同化を主導してきたのは出版社や取次とい た荷主であ て 物流業者ではなか た また アルプス物流やキユ ソ 流通の事例も 親会社ありきの取り組みだ その点 日立物流が日用品業界で手掛けようとしているプラ トフ ム事業は 業界と何のかかわりもなか た物流業者が主導するという意味で 過去に例のない取り組みといえる 同事業の狙いについて日立物流の山本博巳社長は 一企業内の合理化では限界が見えてきた3PLの荷主に対し 当社はオプシ ンのサ ビスとして 次のステ プでは共同物流を提案している 本誌二〇〇三年一〇月号のインタビ 記事 と説明して3PLが主導する日用品の流通革新プラットフォーム拠点が4月に稼働日立物流が準備を進めてきた日用品業界のプラットフォーム事業が、4月から本格的にスタートする。
3PL事業の複数の顧客に同じ物流インフラに乗ってもらい、もう一段のコストメリットを提供する。
将来的には、ここに新しい同業の荷主を取り込んでいき、より効率的な業界プラットフォームへと進化させていく。
日立物流――共同物流 49 APRIL 2005きた それがいよいよ現実に動きはじめる 日立物流はこの四月 埼玉県加須市で 東日本PFC プラ トフ ムセンタ と名付けた物流拠点を稼働する 五階建てで延べ床面積五万八〇〇〇平方メ トルの大型拠点である 施設のオ ナ は物流不動産フ ンドの米プロロジス このため施設の別名は プロロジスパ ク加須 とな ている 東日本PFCを舞台に日立物流は メ カ の工場から日用品卸までの領域を対象に 大規模な共同物流事業を展開しようとしている 同センタ で東日本全域をカバ し 二〇〇六年四月には愛知以西をカバ する 西日本PFC も稼働する さらに北海道と九州にも地域拠点を設置し 全国を網羅する体制を整えていく 図1 箱モノありきの事業ではない この点はヤマト運輸の 宅急便 や 特別積み合わせ事業者が実現している物流ネ トワ クビジネスとは ま たく発想が異なる すでに日立物流と取引実績のある荷主をベ スカ ゴとしながら 独自のアプロ チで日用品の業界プラ トフ ムを構築しようとしている 日用品業界を対象とした理由東日本PFCの中核荷主は 当面 資生堂のトイレタリ 子会社であるエフテ 資生堂と カビキラ などの家庭向けクリ ニング用品を手掛けるジ ンソンの二社が中心になる いずれも日立物流にと ては長年にわたる3PL事業の顧客である 現状では別々に動いている二社の物流を四月以降 段階的に東日本PFCへと集約する ここに二社とは別の同業メ カ 数社の物流も部分的に統合し 保管や配送とい た業務を共同化 将来的には 新たな同業荷主を加えて取扱規模を拡大し さらなるサ ビスレベルの高度化とロ コスト化をめざす こうしたプラ トフ ム事業のタ ゲ トとして日立物流は 日用品業界の他にも電機業界 製薬業界などを想定してきた そのなかで最も早く本格的に動き出すことになるのが 日用品業界向けのサ ビスである 日用品業界を先行させた理由は エフテ 資生堂やジ ンソンの物流を すでに日立物流が手掛けていることが大きい 各社を個別に手掛けていては 物流効率化の余地はもはや限界に近づいていた 荷主と物流業者の双方にと て 次のステ プで共同化に取り組むのが自然の成り行きだ た また 日用品業界に特有の事情も追い風にな た シ ンプ ・リンスや洗剤とい た日用品は 大手小売業やチ ンストアの店頭で熾烈な価格競争を繰り広げている しかも単価が安く 物流コストの負担力が小さいため 日用品を扱う企業にと てオペレ シ ンの効率化は必須課題だ 同分野における日本市場のガリバ 花王は 飽くなき原価低減を続ける企業として知られている この花王を ライオンやユニ・チ ムとい た日系有力メ カ と 米P&Gや英ユニリ バとい た強大な多国籍企業が追いかけるというのが 日本における日用品業界の構図だ 日本でト プの花王といえども世界ではロ カル企業の一社に過ぎず 常にP&Gなどの有力外資を意識しながRDCRDC東日本 
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東日本PFCは青森県まで翌日AM納品可能(郡部の一部エリアは除く) 
殴機璽咼好譽戰覦飮(リードタイム)が必要な顧客はRDCを活用 拠点配置と配送エリア 物流概要 
措辧 B社 
端辧 D社 幹線輸送 共配 納品先 小売店 卸店 積合せ直送 直送 
丕藤辰鰺用した共同保管・共同配送 
丕藤段酸澆裡悖弔望ι覆鮖込み、共同配送のみ利用 
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庁錚磽襦|羞儺鯏澄/泯院‘用品業界向けプラットフォーム事業の概要 
丕藤達丕藤達劭庁達劭庁達悖庁悖庁悖庁悖庁悖庁悖津貔召龍界線 ※RDCは必要時に開設  らオペレ シ ンの高度化を続けている その花王の競争力の源泉が 販売会社や物流を内製化した垂直統合モデルにあることは周知の事実だ これに対抗するため 日用品業界のライバル企業は 卸まで巻き込んだ流通の効率化や 業務の共同化に他業界に先駆けて着手してきた 一九八五年にライオンなどの日用品メ カ 八社で発足したVAN会社 プラネ トは情報プラ トフ ム事業の成功例として有名だ 近年 日用品卸の再編が急速に進んだこともプラスに働いた あらたやパルタ クとい た上位卸への寡占化が進んだことで 卸・小売り間に比べて メ カ ・卸間の物流効率化の遅れが目立 てきた このことも日立物流による業界プラ トフ ム事業が成立しやすい状況を生み出すことにつなが た プラネ ト物流との違い実は一〇年以上前から 今回の日立物流の取り組みとま たく同じ事業に挑んできた企業がある プラネ トの関連会社 プラネ ト物流である 同社は八九年にライオンなどの日用品メ カ 八社とプラネ トの共同出資で発足した 当時すでに情報分野で成功しつつあ たプラ トフ ム事業を 物流分野でも構築しようという狙いだ た ところが現在のプラネ ト物流の取扱物量は 当初の期待値を大きく下回 ている模様だ 同社の二〇〇四年七月期の売上高は四七億円 これに対して 共同物流に参加しているメ カ 十数社の売上規模から類推できる支払い物流費の合計は 低く見積も てもその一〇倍はある 潜在的な物量のうち ごく一部しか取り込めておらず プラ トフ ム事業と呼べるレベルには達していない プラネ ト物流が伸び悩んでいる理由はいくつか指摘されている 中心的な存在であるライオンの影響が強すぎる 在庫の保管を前提とする考え方が時代に合 ていない 参加メ カ がすでに持 ている物流拠点とカバ エリアが重複している いずれも一理はあるのだろうが 本質的な理由はもう少し別のところにあると思われる その理由とは メ カ が共同化を主導していながら 各社にと てプラネ ト物流の利用が第一の選択肢ではない点だ 参加メ カ は既存の物流手段を持 ていて それを止めてまでしてプラネ ト物流を利用しようとはしない しかも会員の自由意志を尊重しているため 都合のいいところだけ共同化に参画するのが当たり前にな ている このため北海道や九州の拠点はフル稼働なのに 首都圏や近畿圏とい た大消費地では物流拠点に見合 た物量が集まらないという事態を招いてしま た これに対して日立物流のプラ トフ ム事業では 前述したように3PL事業の既存顧客を対象としているため そのような問題はない すでに日立物流が包括的に管理している物流を 共同物流に移管するかどうかという選択であり 既存の物流業者との契約をどうするか とい たしがらみとは無縁だ 荷主は 起こりうるメリ トとデメリ トにあらかじめ納得したうえで今回のプラ トフ ム事業に参加している 共同化というステ プに進むことで 長年にわた て一緒に効率化を追及してきた顧客に新たなコストメリ トを提供できると日立物流の大崎良秀理事はアピ ルする 我々が3PL事業を手掛けてきたある顧客企業を対象に共同化の成果をシミ レ シ ンしてみたところ 黙 ていても一〇%くらいのコスト削減につながることが分か た も とも今後もサ ビスの基本は あくまでも3PLに置く 共同化するとはいえ 画一的な標準サ ビスだけを顧客に押しつけるつもりはない これまで各社に提供してきたサ ビスメニ に加えて 新たに標準化した共同物流のメニ を用意し これを使えば単独物流より低コストになるように設定する 共同物流を選択するかどうかは 参加企業の意思にゆだねられている APRIL 2005 50日立物流の大崎良秀理事 51 APRIL 2005前述したようにベ スカ ゴとなる日用品メ カ の物流管理は これまで日立物流が一社で手掛けてきた 共同化のための新たな標準メニ も そうした経験に基づいて設計してある こうした手順がプラネ ト物流のケ スとは大きく異な ているのである 3PLありきのプラ トフ ム事業最近は加工食品業界でも 同様のプラ トフ ム事業の取り組みが出てきた 加食卸最大手の国分と 同二位の菱食が二〇〇二年八月に折半出資で設立した物流会社 フ ド・ロジステ クス・ネ トワ ク FLN がそれだ 今回の日立物流の取り組みと同様 メ カ ・卸間に共同物流拠点を設けてモノの流れを効率化しようとしている 大型化した加食卸が 中小メ カ からばらばらと届く荷物の受入作業や 非効率な小ロ ト納品に業を煮やし 卸自身の手でメ カ 物流の効率化を図ることを狙 ている チ ン小売りが 複数の自社店舗への納品を効率化するために構える一括物流センタ と似たような役割を持つ物流拠点といえる しかし この取り組みも プラネ ト物流と同じく芳しい結果は得られていないようだ メ カ 各社の不満は大きく 卸のメリ トは大きいが メ カ が得るものは何もない ことなどを理由に参加を渋 ている 直接的な顧客である大手卸が作 た枠組みだけに正面切 て文句を言うメ カ はないが 共同化のメリ トを発揮できるだけの物量が集ま ているかといえば疑問符がつく プラネ ト物流とFLNの取り組みは メ カ や卸という商流の当事者が手掛けるプラ トフ ム事業の難しさを浮き彫りにしている 対象となるメ カ は 物流子会社などを設立して個別に物流管理を行 ている このため理論的には有効なはずのビジネスモデルが機能しないのである 欧米の先進的な中間流通を見れば明らかだが このような物流拠点の運営は 商流とは無縁の中立的な第三者が担うべきだ そのうえで納品する側 メ カ と 物流共同化のメリ トを享受する荷受側 卸 の双方が納得できるル ルを設ける必要がある 物流業者としてこれを実現できる立場にあることが 日立物流の強みといえる 東日本PFCの主要荷主の一社であるエフテ 資生堂と日立物流は一〇年来の付き合いがある 当初はごく一部の業務を担 ていたに過ぎなか たが 物流コンサルテ ングを手掛けるなどして急速に接近 九九年にエフテ 資生堂がロジステ クス部を新設した頃エフティ資生堂・ロジスティクス部の神谷学課長事務棟 流通加工C 事務棟 
械董。
横董。
隠董。
苅董。
毅董_従冑弊渋ぁゝ可エリア 増築エリア 約16,500  (4,125 ×4) 乗用ELV 荷物用ELV垂直搬送機 ドックレベラー 
庁達庁段嵒複達庁達悖達院ぃ娃毅 ×2F 危険物倉庫 各階構成 階  保管面積  高さ   ( )  (m)5F 12,573 6.24F 12,573 6.53F 12,573 6.51F 10,065 6.5危険物倉庫 297計 48,081東日本PFCの概要  APRIL 2005 52から 徐々に日立物流が3PLパ トナ として機能するようにな てい た エフテ 資生堂の物流拠点は 九〇年代末には全国に九カ所あ た このうち東日本の五カ所を 二〇〇〇年八月に日立物流の拠点一カ所に集約 続いて二〇〇二年五月には 西日本に四カ所あ た物流拠点も京都の施設一カ所に集約して 日立物流だけをパ トナ とする東西二拠点体制へと移行した これを機にエフテ 資生堂の物流部門は それまでの実務管理から 在庫管理や返品問題の解消とい たマネジメントへと日常業務の軸足を移した 同社ロジステ クス部の神谷学課長は かつて私と同じ立場で仕事をしていた人たちの話を聞くと 仕事の質が劇的に変わ たことを感じる 天災などの特殊なケ スを除けば 今では配送業務の管理はすべて日立物流に任せている と説明する 今回のプラ トフ ム事業のもう一社のコア荷主であるジ ンソンについても 日立物流は同様の関係を築いている こうした取引実績の延長線上で 日立物流はプラ トフ ム事業の青写真を描いた 逆説的な言い方をすれば 3PLのように包括的な物流契約が成立していない関係では 大規模な物流共同化もありえないという言い方すらできるかもしれない 新時代の中間流通への過渡期日用品メ カ 向けの3PL事業を担当している日立物流の高橋俊之部長は 今回のプラ トフ ム事業の構想自体は二〇〇一年ぐらいから温めていた ただし 今の段階でゴ ルまでの絵を描けているかといえば まだ途中の状態 参加各社の意見に耳を傾けながら 四月以降どんどん進化させたい と意気込んでいる 実際 多数の日用品メ カ に参加を打診した手応えは悪くなか たという 前述した二社に加えて商談中のもう一社が決まれば 在庫型のスペ スについては稼働早々に一杯になる 共同配送だけを利用する通過型のメニ もあるため 初年度から商品通過金額にして五〇〇億円程度を確保できる見通しだ 場合によ ては 事前に確保してある約一六五〇〇平方メ トルの増床工事の完了時期を 計画の二〇〇六年一〇月より前倒しする可能性もありそうだ 綿密に設計された日立物流のプラ トフ ム事業だが リスクもある 机上で理想的なサプライチ ンを考えると メ カ の工場と 小売りの店舗の間に一カ所だけ在庫拠点を置くのが一番効率がよくなる 現在の日用品業界でこの機能を担 ているのは卸の物流拠点だが これに対して日立物流のプラ トフ ム拠点は メ カ ・卸間の流通段階をもう一つ増やすことにな てしまう 理論的にはベストの選択ではない ただし 中間拠点が一カ所だけの理想的なサプライチ ンを構築するためには すべての日用品メ カ が工場の物流機能を高めるか 日用品卸の物流拠点を格段に大規模化する必要がある 中小メ カ にと ては無理な注文だし 現在の卸売業者の経営を考えても難しい 将来的にはあり得ない話ではないが 当面 実現する見込みは薄い こうした業界環境を見る限り 日立物流の描こうとしているプラ トフ ムの機能も当面は有効といえる もし仮に 巷で話題を呼んでいるICタグの導入が加速されるようなことがあれば 物流拠点を共同化しているメリ トが発揮され 投資効率を高めることにつながる可能性も否定できない もちろん 日立物流にと て理想的な状況を迎えるためには 四月に稼働する東日本PFCでのオペレ シ ン能力が ライバル企業に対して比類のないレベルにな ていることが前提になる それができなければ より高度のオペレ シ ン能力を持つ事業者が 同様のビジネスモデルで参入してくれば勝ち目はない いずれにせよ 今回の試みが 日本の流通にと て注目すべき発展段階の一つであることは間違いない 岡山宏之 日立物流の高橋俊之部長

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