ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年3号
ケース
中越通運―― 共同化

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

MARCH 2002 48 ジャスコ配送センターを運営 中越通運は社名の「通運」の文字からも分 かるように、もともとは鉄道貨物を扱うフォ ワーダーだった。
会社設立は一九七〇年。
新 潟を地盤とする路線トラック業者、中越運送 の通運部門が分社する格好で発足した。
当初 は通運業が主体だったが、その後は区域トラ ック、倉庫、引越などの分野にも進出。
順調 に業績を伸ばしてきた。
ところが、八〇年代後半に入るとビジネス に翳りが見え始めてくる。
バブル崩壊や規制 緩和の影響で運賃ダンピングに拍車がかかり、 それに巻き込まれるかたちでトラック運送収 入が頭打ちとなったのだ。
「このまま値引き競争を続けるのか。
それと も新しい事業に挑戦するのか。
選択を迫られ た時期だった」と木村敏昭第二営業部次長は 当時を振り返る。
後者を選択した中越通運が目を付けたのが 3PL(サードパーティー・ロジスティクス) 事業だった。
もっとも、当時はまだ3PLと いう言葉は日本には浸透していなかった。
「た だ運ぶだけの仕事に周辺業務を加えて、運賃 の値下がり分を補填しようというレベルだっ た。
3PLというよりも付加価値サービスの 提供という表現のほうが正しいかもしれない」 と木村次長は打ち明ける。
中越通運にとって、最初の?3PL〞的な 仕事はジャスコ(現イオン)の配送センター 中堅小売り向け一括物流で 通運業者から3PLへ業態転換 70年設立の通運業者。
98年、中堅クラスの 小売りの物流を肩代わりする共同物流センタ ー「新潟ALC」を立ち上げた。
現在、新潟を 中心に店舗展開する食品スーパー、ホームセ ンターの2社の一括物流センターとして機能し ている。
全社売上高は約110億円。
このうちセ ンター事業収入が35億円を占める。
「脱・運送 業」化を着々と進めている。
中越通運 ―― 共同化 んできただけに、物流センターの運営ノウハウはほとんどなかった。
試行錯誤の連続で、当 初はミスも少なくなった。
だが、徐々に信頼 を得るようになり、翌九二年六月には「仙台 ジャスコ配送センター」の運営を任されるま でになった。
「小売りの物流に対するニーズ はどの業界よりも厳しい。
その分 鍛えられたし、ノウハウも蓄積す ることができた」と第二営業部東 京プロジェクト室の清水眞司次長 は述懐する。
共同化で 投資負担を軽減 この新潟と仙台での経験がベー スになっているのが「新潟ALC (アドバンテージ・ロジスティク ス・センター)」である。
九八年 二月に稼働した同センターは、複 数の小売りに対して一括物流サー ビスを提供する共同物流センター。
複数の企業で一つのセンターを共 有するため、専用センターを用意 するよりも一社当たりのコスト負 担は小さくなる、というのがセー ルスポイントだ。
利用者は商品の 通過金額の数%を物流費として中 越に支払えばいい。
ターゲットは 主に中堅クラスの小売業だ。
の運営だった。
九一年四月に「新潟ジャスコ 配送センター」を立ち上げ、そこでベンダー から納品される商品をセンターで仕分けして 各店舗に配送する、という一括物流の仕事を 請け負った。
しかし、典型的な運送業としての歴史を歩 49 MARCH 2002 「一括物 流を採り入 れ た い が 、 専用センタ ーを設ける 余裕はない という声が、 中堅クラス の小売業か ら寄せられ ていた。
そ こで当社が 第三者とし て物流センターを用意した。
当社のセンター を複数の企業で利用することで、一社当たり の投資負担を軽減できる。
当社にとっても、 専用センターよりも、複数の荷主企業を集め たセンターのほうが稼働率が高く、その分収 入を増やせるという利点がある」と木村次長 はALCを立ち上げた経緯を説明する。
中越通運が新潟、仙台でジャスコ配送セン ターの運営を始めた九〇年代初めは、小売り 業界で一括物流の導入が盛んに行われた時期 だ。
ベンダーからの納品先を一カ所に集約し、 そこから各店舗へ商品を供給することで、店 舗側の荷受け・検品業務を簡素化するのを狙 って、この時期、ジャスコに限らず大型チェ ーンが相次いで一括物流を取り入れた。
ただし、専用センターを用意することがで きるのは体力のある一部の大型チェーンに限 新潟ALC ALCの仕組み センターサーバー 関東エリア 新潟エリア 関西エリア メーカー及びベンダー 納品用データ 納品用データ 入出荷情報 在庫情報 納品情報 など 入出荷情報 在庫情報 納品情報 な ど 在庫ピッキング出荷 在庫ピッキング出荷 在庫ピッキング出荷 T/C・D/C T/C・D/C T/C・D/C 新潟エリア 各種小売店 関東エリア 各種小売店 関西エリア 各種小売店 メーカー・ ベンダー向け発注 MARCH 2002 50 られていた。
大型チェーンにはバイイングパワ ーがあるため、自社で専用センターを持たな くても、卸が専用センターを用意してくれる という優位性もあった。
これに対して、中堅 クラスの小売りは各ベンダーの物流機能に頼 るほかなかった。
それだけに共同物流センタ ーへの期待は大きかった。
しかし、ALCには共同物流センターであ るが故の課題も少なくなかった。
「一つのセン ターを複数企業で共有すれば、その分コスト 負担を軽くできるという理屈は簡単だ。
しか し実際には、共同センターは専用センターよ りも色々な制約を受ける面もある」と清水次 長は説明する。
たとえば、センターを利用する複数の顧客 企業が同じ「配送トラックの店着時間」を希 望したとしよう。
そうなると、庫内オペレーシ ョンを行う時間が集中して作業の平準化が図 りにくくなってしまう。
共同物流センターの理想的な姿は、午前中 はA社、午後はB社、夜間はC社向けといっ た具合に、作業がきちんとスケジュール化さ れることだ。
ある一定の時間に作業が集中す ると、ピークの処理量に合わせて人手とマテ ハン機器を用意しなければならず、その結果 コストも掛かってしまうからだ。
中越では同じ小売りでも業態の異なる企業 同士を組み合わせることで、こうした問題を 解消している。
新潟ALCが現在、地元・新 潟を中心に店舗展開する食品スーパーとホー ムセンターの二社向けにサービスを提供しているのはそのためだ。
二社は新潟ALCをT C(通過型物流センター)として活用してい るが、店着時間は重複していない。
食品スー パーは日中に四回、ホームセンターは夜間と 早朝の配送になっている。
この組み合わせに よって、センターの作業量の波動をできるだ け抑えているのだ。
出荷は一日計六回 実際のセンター作業はどのようなタイムス ケジュールで動いているのだろうか。
新潟A LCの入荷〜出荷までの作業の流れ(対象商 品はグローサリー)を見てみよう。
センターの一日は食品スーパー向けの作業 から始まる。
各店舗には一日に計四回商品が 供給されるが、そのうち三回は日配品である。
第一便の店着時間は午前六時半。
残りの二便 分の配送は午前中と午後に行われる。
この時 間帯に合わせて、センター一階部分のチルド フローズンエリアで出荷作業を進める。
第四便目のグローサリー商品の作業はベン ダーの納品トラックが到着し始める午前九時 頃から始まる。
第四便の店着時間は夕方なの で、それまでの間にピース単位で一〇万、ケ ース単位で二万の商品を処理していく。
作業フローはこうだ。
まずベンダーのトラッ クから積み下ろしされた商品はベルトコンベ アに載せられ、ソーター(仕分け機)に向か う。
ケース商品はバーコードによる自動入荷 検品を経て、そのまま出荷方面別ソーターへ 運ばれる。
一方、オリコンに入ったピース商品は「一 次
丕錬辧point of receive )エリア」へ。
こ のエリアではパートタイマーたちが最初に商 品のバーコードをスキャン。
次に商品の数量 を入力して、納入予定数と合っているかどう かをチェックする。
検品の済んだピース商品 はコンテナに載せられて二階のピッキングエリ アに搬送される。
ピッキングエリアには上下二段のラックが 用意されており、そのラックに並行するかた ちでコンベアが走っている。
ラックとコンベア でデジタルピッキングシステムが組まれており、 ピース商品を載せたコンテナは、ピッキングす べきラックの前で停止する仕組みだ。
ピッカ ーはラックに表示された個数分だけコンテナ から商品を取り出し、オリコンに投入すれば いい。
これによって、店別、店舗の陳列ロケーシ ョン別にピッキング・仕分けされたことにな る。
ピッカーはオリコンが商品でいっぱいにな った段階で、そのオリコンを出荷方面別ソー ターにつながるコンベアに流す。
自動検品されたケース商品、そしてピッキ ング・仕分け済みのピース商品はそれぞれ出 荷方面別ソーターに搬送され、そこで合流す る。
最後にソーターから落ちてきた商品をカ ゴ車に積み込み、出荷準備は完了する。
食品スーパーに続いて、夕方からはホーム センター向けの作業 に移る。
長尺品・異 形品以外は食品スー パー向けのグローサ リー商品と同様のフ ローで進む。
各店舗 への納品は夜間、も しくは翌日早朝。
そ れに合わせて出荷準 備が午後一〇時頃ま で続く(図参照)。
ソーターがいった ん停止する時間帯も あるが、専用センタ ーに比べ、施設に ?遊びの時間〞が少 なく、ほぼ二四時間 体制で稼働している。
九州にも進出 この共同物流セン ターを利用している 食品スーパーとホー ムセンターの二社は 従来に比べ物流コス トを二〇〜三〇%削 減することに成功し たという。
成果が大 きいのは物流センタ ーへの投資を必要と しないため。
センターを通過した分だけ料金 を支払えばいい仕組みなので、固定費が掛か らない。
「物流センターの運営をアウトソーシングす ると、物流コストを変動費化できる。
これか らは物流センターを自前で用意する時代では ないと訴えていきたい」と清水次長。
新規顧 客の開拓も順調で、最近は引き合いも増えて きているという。
実際、昨年六月には九州地区に新たなAL Cを立ち上げた。
そこでは食品を宅配で販売 するオレンジライフ向けのセンター運営業務 を請け負っている。
対象はドライ商品。
ベン ダーから納入された商品を地域別、個人宅別 にピッキング、仕分けして荷揃えするまでを 担当している。
さらに、今年は関西地区への 進出も予定している。
中越通運の年商は約一一〇億円。
このうち、 物流センター事業は三五億円と全体の三割を 占めるまでに成長した。
「物流センター事業の 伸び率は運送事業収入をはるかに上回ってお り、収益の柱になりつつある。
従来の運送屋 の発想のままで仕事を続けていたら、今頃は 淘汰されていたかもしれない」と木村次長は 振り返る。
運送屋から3PLへ――。
共同物流センタ ーを設けて小売りの物流を肩代わりするとい う中越通運の取り組みは、荷動き低迷に苦し むトラック業者がビジネスモデルを見直す際 のモデルケースとなりそうだ。
(刈屋大輔) 51 MARCH 2002 3. ピース検品 ピース商品の検品はバーコードスキャ ン後、数量入力するかたちで行われる。
検品の済んだ商品はコンテナに載せられ、 2階のピッキングエリアに搬送される 4. デジタルピッキング ピッカーはラックに表示された個数分だ けコンテナから商品を取り出し、オリコ ンに投入する 5. 出荷 ケース商品とピース商品は出荷方面別ソ ーターで合流する。
最後にソーターから 落ちてきた商品をカゴ車に積み込む 2. ケース仕分け ケース商品はバーコードによる自動入荷 検品を経て、そのまま出荷方面別ソータ ーに向かう 1. 入荷 各ベンダーからの商品が次々とコンベア に載せられる 新潟ALCの作業フロー 出 荷

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