ロジビズ :月刊ロジスティックビジネス
ロジスティクス・ビジネスはロジスティクス業界の専門雑誌です。
2002年4号
素朴な疑問
ソフトの値段はどうやって決まる?

*下記はPDFよりテキストを抽出したデータです。閲覧はPDFをご覧下さい。

57 APRIL 2002 物流関連ソフトのユーザーにとって、既存の物流 IT談義は敷居が高過ぎる。
ユーザーはITの専門家で はない。
知りたいのは難解な専門用語を散りばめた 技術論やソフトのスペックではなく、ソリューショ ンの本質だ。
そんなユーザーの素朴な疑問に、物流 ITのスペシャリストが答える。
従来、ソフトウェア・ビジネスは受託産業でした。
お客さんから要望を聞いて、それをソフトに作り込 む。
そこにかけた工数がソフトの値段でした。
これ に対してパッケージソフトは工業製品です。
従って 他の工業製品と同じように、どういうマーケットに 対して、どういうサービスを提供するかというベン ダーの戦略によって、ソフトの値段は、異なってき ます。
30万円〜50万円程度の比 較的安価なソフト、昔から あるタイプの運輸管理ソフト や在庫管理ソフトは通常、開 発にかけた工数を製造原価として、全部で何本売れ るか見込みを立てたうえで「定価」を決めています。
純粋な物販に近い考え方で、「相場」も概ねできあが っています。
メーカーの粗利は定価ベースでだいた い40〜50%。
最終的には値引きがあるので20〜30% 程度というのが実態です。
パッケージ自体はそれほど高額にはできないため、 周辺サービスを収益源にしようとするベンダーもい ます。
パッケージ自体の値段を低く抑えて、サービ スの部分の値段を上げるというやり方です。
周辺サ ービスの中身はプログラムのカスタマイズのほか、 他のソフトと組み合わせて使えるようにするとか、 教育だけ、立ち上げだけ、運用まで請け負うといっ た様々なバリエーションがあります。
もしくは基本 パッケージの他にオプションの選択肢を増やしてい き、そこに値段をつけるというパターンがあります。
ソフトの売り手側の立場から言うと、お客さんの 顔を見て決めるという側面があることも否定できま せん。
オープン価格と称して、実際には相手の規模 や懐具合を見ながら値段を決めていく。
知的所有権 に対する権利帰属が非常に厳しい欧米では、大手ユ ーザーは大規模に使うのだからソフトの値段も高く て当然という考え方をします。
そのため「定価」と いう設定自体がだんだんなくなってきています。
物流からロジスティクス、ロジスティクスからサ プライチェーンとネーミングが変わっていく段階で、 実は中身は変わっていないけれどマーケティングで 付加価値を上げていくという傾向もなきにしもあら ず。
在庫管理ソフトとSCMソフトでは、かなりカテ ゴリーが違うように思うかも知れません。
しかし、両者には共通する機能がたくさんありま す。
売り手側からすれば、同じものをSCMソフトと 称しただけで本来なら数十万円のソフトが数百万円 で売れるかも知れない。
そこは、お客さんがそのソ フトをどう評価するかにかかってくる。
実際、大手 企業のユーザーには安いソフトより高いソフトのほ うが良く売れる。
化粧品と近いことがあるのです。
こうしたマーケティングが売り手側からすれば非常 に重要になる。
したがって、必ずしも製造原価で決 まってこない部分もある。
それだけユーザー側の「目 利き」は難しくなっています。
とりわけ大型システムともな ると、担当者にとって一生のうちに1〜2回しか購入 のチャンスはありません。
間違いなく全てを選べと 言われても無理があります。
そこで今後はソフトやサービス会社を正しくコー ディネートするところに価値が生まれてきます。
ユ ーザーのニーズと製品グループの間にはギャップが あります。
それを埋めるために、ユーザーのニーズ、 予算、そしてスケジュールに見合った投資のアドバ イスを行うわけです。
しかもベンダーとは切れた第 三者的な立場でやる必要がある。
そうしたベンチャー企業が既にいくつか生まれて います。
ベンダーの製品や業務実績に対する客観的 な評価指標を持って、ユーザーに代わって投資を評 価し提言するプロジェクト・マネジメント業です。
「ITコーディネーター」といった資格も既に設けら れています。
要はソフトの「ソムリエ」ですね。
(談) ソフトの値段はどうやって決まる? パッケージソフトは工業製品。
ベンダーの販売戦略を見極めろ たなか・すみお 物流企業系シス テムハウスを経て、91年に独立。
エ クゼを設立し、社長に就任。
製造・ 販売・物流を統合するサプライチェ ーンシステムのソリューションプロ バイダーとして活動。
2001年10月 に「フレームワークス」に社名変更 新連載 フレームワークス 田中純夫社長

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