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ロジステイタスの三段階
九0年代にSAP やオラクルなどの業務統合パァケ
ージソフト(ERP一一川口Z32耳目。 gZ203EEER)
が登場したのを皮切りに、その後、サプライチェーン
計画ソフト(SCP一印C司百ぞれE5224コ三回)、倉
庫管理ソフト(WMS 一名号52Zζ 言釦間Eddo-=
印U35ヨ)、輸送管理ソフト(TM5 →E コω官2・FES
玄EMMRm ヨEF印3Zヨ)など、欧米の5CM 関連ソフ
トが相次いで日本に紹介されている。
大手メーカーを中心に既に多くの円本企業が一述
のSCM 関連ソフトの導入を進めている。 しかし、パ
ッケージベンダーが喧伝する魅力的な導入効果とは裏
肢に、華やかな成果を挙げた日本企業の成功事例が
報告されるケl スは稀だ。 耳に入ってくるのはむしろ
大型投資の失敗ゃ、ソフトウエアの笑用性に対する非
難の声ばかり。 欧米市場で能力を証明されたはずのI
T ツl ルが、日本ではなぜか期待通り機能しない。
その一方で、重装備のIT ツ1 ルに頼らずに、在庫
回転率を着実に改善し、同時に顧寄サービスレベルを
向上させることに成功している日本企業が存在する。
そうしたロジステイタス先進企業に共通するのは笑絞
データの分厚い蓄積だ。 とうやら物流にIT を活用す
るためのカギは、ツールの優劣ではなく、データその
ものにあるようだ。
味の素ゼ、ヰラル7lヅ(AGF)で長年、ロジステ
イタス情報システムの構築に挑わってきた川島孝夫常
勤監査役は「在庫管理のために情報を一元的に管理
すること。 それがロジステイタスのファーストステy
プだ。 ところが、日本企業の多くは、段階を飛ばして
いきなり、需要予測や物流ネyトワークの統合に取り
かかる。 それでは上手くいくはずがない」と指摘する。
E軍司
なぜIT投資は失敗するのか
本誌編集部
ロジスティクス改革を目的としたIT投資の失敗が相次いで
いる。 情報管理に対する初歩的な認識不足が原因だ。 肝心の
情報が適切でなければ、量先端のソフトウェアも高価なガラ
クタに過ぎない。 正確な物流情報を把握すること。 それが成
功するIT投資の第一歩だ。
AGF のロジステイタスは基本的に親会社の米クラ
フトフl ヅ村のマネジメント理論に基づいている。 そ
のクラフト71 ヅ社では、ロジステイタス伊um の方法
論として、次のような=一段階の改革ステYプを定義し
ている。
第一段階在庫情報の一元管理
第二段階需給調整機能の統合
第三段階物流ネットワークの統合
このうちSCP の活朋は第二段階に当たる。 布陣
情報の一元管恩を実現した上で実施すべき施策だ。 ど
れだけ高度なロジックを組み込んだ需要予測ツールで
あっても、肝心のデータの精度に問題があれば、確度
の高い予測は得られない。 当たり前の話だが実際には
日本企業の多くが恭礎データの把擦が不十分なまま、
解析ツl ルを導入してロジステイタス改革を進めよう
としている。
MAY2002 LOGI-BIZ 14
情報化以前の課題
もっとも「在庫情報の一元管理」はロジステイタス
の三段階のうち、尖は一番苦労の多いステップだとい
われる。 企業の在庫包理システムは歴史的には絞迎処
剛山の自動化から出発している。 そこでは住庫の所拘権
の移動日と金額が把握すべき項目となる。 これに対し
て物流管理上の在庫情報は物量と場所がテ1 マだ。 さ
らに工場では原価計算に使う統計情報として夜庫デ
ータを使用する。
つまり全く同じ在庫でも管理部門によって必要とす
る情報は異なっている。 そのため従来は、各倍程部門
がそれぞれ情報システムを構築し、独自のフォI マァ
トで在庫を抱擁していた。 それを全社的に二冗管理す
るには、まず寂庫情報のフォーマットを、どの部門で
も使朋できる形に統一する必要がある。
d豆〉
物流IT
先進企業はココが違う
キヤノンは一一000 年にグローバル・ロジステイタ
スを管理する全社横断組織としてGLS 推進部を設
立した。 阿部に与えられたテl マは在庫の半減。 その
ために阿部ではまず一年以上を割いて商品コlドの統
一を進めた。 時間をかけたのは、それだけ相内制整の
難航が予想されたからだ。 実際、九0年代中頃にも
同社は商品コlドの統一を試みたことがあったが、各
部門の強い抵抗にあって頓挫している。
サプライチェーン・インサイツ
ラルフW ドレイヤー創業者兼会長に訊く
unマlト破綻の理由
ーl 今年一月に米国の大手小売りK マlトが破産申
摘しました。 一方、ライバルのウォルマl卜は世界量
大の小売業者として快進撃を続けています。 サプライ
チェーン・マネジメントという観点から見て、この二
社はいったい何が遭ったのでしょうか。
「多くの要素がありますが、最も重要なものは戦略
です。 ウォルマlトは情報を共有するために、主要な
サプライヤ!とコラポレl シヨン(協働)する戦略を
とってきました。 よりよいカスタマーバリューのため
に取引先同士で協力しあうのです。 またウォルマlト
のCEO はロジステイタス出身の人間です。 彼は輸送
からスタートして、ロジステイタス部門の責任者とな
り、A,はCEO です」
「一五のK マlトは、日取近は改善の努力をしていま
したが、出発点に迎いがありました。 マネジメント、
リーダーシップの問題です。 これが第一のポイントで
す」
il 確かに米国の報道によるとK マlトは経営眉の人
事でここ数年ゴヲゴ宮が続いていたようですね。 また
ロジスティヲス情報システムに対する投資の失敗で巨
額の損失を発生させたとも伝えられています。
「ただし、市場への迅速な対応には無駄のないロジ
ステイタスが必
須になるのは事
実です。 実際、
ウォルマl トは
Kマl トよりは
るかにIT とサ
プライチェーン
に投資をしてき
ました」
llk マl 卜はウォルマl 卜になろうと考えていたの
でしょうか。
「私はK マlトの専門家ではないですが、サプライ
チェーンの側面から見れば、彼らがウォルマl トと同
等の能力を欲していたことは確かです。 しかし、彼ら
はロジステイタスをサl ドパーティーにアウトソl ス
することを選んだ。 また彼らは卸を使った」
ーーしかしK マl トがウォルマl 卜と同じことをして
も絶対に勝てません。 そもそもの規模が遭うわけです
から。
「いいポイントですね。 Kマl トはウォルマl トと
同じクリティカルマスや彰響力を持っていません。
それは事実です。 例え全て同じことをしたとしても、
彼らは決してウォルマ1トにはなれません。 彼らは消
費者を満足させるためにウォルマlトとは異なった方
法を見つけなければならなかっ子もしかし、それをし
なかったのです」
同じ社内でさえ在庫情報の一元管理には多くの困
難がつきまとう。 さらに、流通全体を段通化しようと
すれば、社内の枠を越えてサプライチェーンのパート
ナーの在庫まで含めた一元化が必要になる。 小売りが
提供するPOS データを元にメーカーが市場動向を把
操し、生産活動をコントロールする。 これによって流
通全体の在庫を削減するt いうアプローチは、5CM
の定石の一つとされる。 そのエンジンとして開発され
たのが一連のSCP ソフトだ。 実際、米国ではSCP
をツl ルとした大手メーカーと大手小売り間のコラボ
レlシヨン(協働)が一O年以上も前から具体化に移
されている。 ところが、それを日本に持ち込もうとす
ると上手く動かない。
その理由を米P&G 社の元CLO( ロジステイタス
最高責任者)でSCM コンサルタントのラルフW ドレ
イヤー-サプライチェーン・インサイツ創業者兼会長
は、「重要なのは標準化だ。 米国でサプライチェーン
のパートナーと情報を共有することができているのは、
データが標準化されているからだ。 日本の場合は標準
化の問題がSCM のアプリケーションを導入する上で
の障害になっている」と指摘する。
正確な需要予測には大量のデータ交換が必要だ。 そ
のために米国ではメーカーと小売りが同じフォーマッ
トを使っている。 「ところが日本にはメーカーと小売り
によって合意された撚準がない。 この状態では例えメ
ーカーが小売りからデータを入手したとしても、それ
を使いこなすことは非常に難しい」とドレイヤー会長。
それどころか社内でさえ標準が存在しない。 それが
多くの日本企業の実情だ。 世界的に見ても、日本企
業のIT 武装自体は決して貧弱ではない。 しかし、そ
め迷用実態は情報化以前の段階にある。 まずはロジス
テイタスの第一段階をクリアする必要がある。 国
15 LOGI-BIZ Mバy 2002
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