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2025年11月号 |
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Cover Story |
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特集 物流レジリエンス強化
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入念な準備と迅速な判断が生命線
今年9月にアサヒグループを見舞ったサイバー攻撃は、問題発覚から1カ月が経過しても受注・出荷正常化のめどが見えない。その後も企業がハッカーに狙われるケースが相次いでおり、サプライチェーンを揺るがす脅威となっている。激甚化が進む災害も同様だ。事前の入念な準備と問題発生後の迅速な判断が物流レジリエンス(回復力)を強化する生命線となっている。
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サプライチェーンのリスクを極小化する
ローランド・ベルガー 小野塚 征志 パートナー
「トランプ関税」や自然災害の頻発など企業のサプライチェーンを揺さぶる事態が後を絶たない。先が見えない時代だからこそ、いかにリスクを極小化するかを平時から備えておくことが事業継続の命運を分ける。リスクマネジメントを確立するために考慮すべきポイントを解説する。
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物流業や中小企業こそが標的になる
物流業や中小企業はサイバー攻撃の標的になりにくい──。こうしたイメージは全く現実と異なる。攻撃者はまずセキュリティの脆弱な企業を侵入口にして、取引先の大企業などへ襲い掛かろうとするからだ。ロボットや自動倉庫、自動運転トラックなどが乗っ取られ、暴走するリスクも高まっている。
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KPMGコンサルティング
SCMのリスク対策が取引先選定条件に
企業は取引先を選ぶ際に、サイバーセキュリティ対策やBCP(事業継続計画)の策定を選定条件にしつつある──。KPMGコンサルティングの企業調査で、こうした傾向が明らかになった。サプライチェーン上の脆弱点を突いたサイバー攻撃被害や地政学的リスクの増大により、危機管理は自社のためだけの取り組みではなくなってきた。
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国家サイバー統括室
攻撃に先手打つ「能動的防御」へ転換
サイバー攻撃は国際的な犯罪分業が進み、より悪質かつ大規模になっている。そんな潮流に歯止めを掛けようと、日本政府が新たに打ち出した対抗策が、攻撃者の先手を打って被害を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」だ。7月に発足した国家サイバー統括室が軸となり、物流などの基幹インフラ保護を強化している。
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現場報告・国内初の事態が官民の結束を促した
荷役が一斉にストップし、オフィスのプリンターが脅迫文書を吐き出し続ける──。2年前に名古屋港で発生したサイバー攻撃で物流は停滞し、大手メーカーの工場が何カ所も生産停止に見舞われるなど、影響は地域全体に及んだ。日本で初の事態に国は法改正など対策に着手。苦い経験を生かそうと港湾運送事業者と連携を強化している。
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世界の港湾セキュリティ動向
「情報共有と最新技術活用」が防御の軸に
米国のロサンゼルス港は今年3月、AI(人工知能)が作り出す偽造コンテンツを見破るためのAIシステムを導入した。オランダのロッテルダム港は「原理的に傍受・解読不可能」とされる量子暗号通信の試験導入を拡大している。サイバーセキュリティに定評ある両港の対策は「港湾全体の情報共有と最新技術の活用」で共通している。
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「レジリエンス強化は輸送ルート複線化が鍵」
Interview 流通経済研究所 加藤弘貴 理事長
サプライチェーンのレジリエンス(回復力)強化には輸送ルートの複線化が有効だ。一般消費財物流における複線化の有力候補は大きく二つある。東海道を用いた東西幹線輸送における太平洋側ルートの複線として、新潟を中継地として構築する日本海側ルート。そして本州と九州間の輸送で宮崎への海上輸送を活用する南九州中継ルートだ。いずれも実用化に向けた実証実験などが進められている。
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緊急支援物資輸送
「岩手方式」が能登半島地震でも機能
岩手県と岩手県トラック協会などが東日本大震災の際に共同展開した広域物資拠点を軸とする災害物流体制の「岩手方式」。後に国の緊急支援物資輸送スキームに組み込まれ、2024年の能登半島地震で真価を発揮した。政府調達物資の1次輸送手配などで全日本トラック協会、拠点運営支援や各種輸送手配などで石川県トラック協会が緊急支援物資輸送の一翼を担った。
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連続する危機の中で利益を出すSCM改革
SAPジャパン 豊里陸王 カスタマーアドバイザリー統括本部 サプライチェーンマネジメント2部ソリューションスペシャリスト
パンデミック、紛争、関税の変動など、問題が波状的に発生する時代には、状況変化に迅速に適応できる組織作りが求められる。それには全業務を垂直・水平両方向に連携させ、意思決定から末端の行動まで速やかな連動を可能にする、統一された情報基盤が欠かせない。これから必要とされるサプライチェーンマネジメント(SCM)とは、連続する危機の中で利益を出せる組織改革のことだ。
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イオン
在庫情報共有で通常営業と災害支援を両立
東日本大震災を機に、在庫情報などの共有システム構築に加え、サプライチェーン組み替えシミュレーションを基にした在庫配置で有事に備えている。2024年1月の能登半島地震では、被災地への支援物資輸送と金沢市内で営業する店舗向けの商品供給を干渉させない輸配送網を実現。全国各地域における生活インフラを支え続ける。
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ローソン
「止めることで動き出す」逆張りの早期復旧策
東日本大震災での教訓を活かし、大規模災害時における伝票事務の簡略化やセンター間での受注代替体制を整備したほか、店舗発注をストップする措置まで駆使。被災センターの負荷を徹底的に減らして早期復旧を後押しする。地域生活インフラの担い手として、店内調理設備を活用した災害時用おにぎり販売の検討など、「運べない期間」における商品供給の方策も探る。
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メディセオ
「薬を止めない」センター強靭化を追求
1995年の阪神・淡路大震災での教訓を糧に、業界に先駆けて免震装置や停電時でも全設備を長時間稼働させる高度なBCP(事業継続計画)体制を備えた物流センター開発に着手。2011年の東日本大震災では発災直後から被災地向けの医薬品供給体制を機能させた。23年10月にはグループ13拠点目となる「阪神ALC」(兵庫県西宮市)が稼働し、全国ネットワークを完成させた。
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日本パレットレンタル
BCP委員会を軸に事業継続体制を整備
社内の各部門から参画する委員で構成されるBCP委員会を組織している。傘下には訓練とマニュアル整備、関連教育、広報、リスクマネジメントの4チームを配置する。災害時の拠点運営に関しては、風水害や地震、火災といった種類別に行動手順を整備。優良な防災と事業継続の体制を構築している企業を対象とする日本政策投資銀行の格付も取得している。
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ナブテスコ
サプライヤー1600社の代替調達先を確保
想定外の事態が起きるのが災害だから、事前の「計画」策定よりも迅速にリカバリーできる「事業継続力」の強化を重視すべし──。機械メーカーのナブテスコはそうした信念で組織変革を進め、被災時の危機を乗り越えてきた。その要は、サプライヤーとの連携による調達網の強靭化だ。
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トヨタ自動車
サプライチェーン可視化システムが活躍
自動車は1台につき約3万点の部品を用いると言われるすそ野の広い工業製品だ。その分、災害時でも調達・供給を途絶えさせない体制の構築は、難度が高い。トヨタ自動車は2011年の東日本大震災を機に、2次以降の調達先までも網羅したデータベース「RESCUE(REinforce Supply Chain Under Emergency、レスキュー)」を開発し、災害を想定した平常時からのサプライチェーン強化に取り組んでいる。
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物流セクターの危機管理戦略:理論と実践
“Risk and Crisis Management Strategies in the Logistics Sector:Theoretical Approaches and Practical Models”
リトアニア ヴィリニュス・ゲディミナス工科大学 Aldona Jarasuniene教授ほか
物流はグローバル貿易体制を支える重要セクターだが、その複雑さと相互接続性という特質のため、地政学的緊張、経済不安、環境破壊、オペレーションの非効率性といった多彩なリスクにさらされる。では、効果的な危機管理にはどのような取り組みが必要か。マネジメントとテクノロジーの両面から、具体例も交えて考察する。
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New Series |
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【集中連載】激震・郵便点呼不正《最終回》
「総合物流企業」に転身できるのか
不適切な点呼の問題で揺れ続ける日本郵便に対し、軽貨物車両を対象とした国土交通省の行政処分が出始めた。安全意識醸成の取り組みは始まったばかりだが、そんな中でロジスティードホールディングスへの出資を発表するなど、拡大路線を志向している。「総合物流企業」への転身ははたして可能なのか。
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Key Person |
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「サイバー攻撃には『復旧力向上』で対抗を」
関通 達城久裕 社長
突如大規模なサイバー攻撃を受け、EC物流は大混乱に陥った。現場の立て直しに約50日を要し、被害額は17億円に達した。苦境の経験から攻撃を完全に防御するのは難しいと痛感。被害を最小限にとどめて組織の機能を迅速に取り戻すための「プランB」(代替策)を準備し、復旧能力を向上させておくことが肝要だと説く。
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Case Studies |
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SUBARU〈CLO〉
CLOと物流本部を新設し全体最適を追求
モノづくり革新のため物流改革にも本腰
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オリックス・レンテック〈物流施設〉
PCなどのレンタル事業支える物流・技術拠点
自動倉庫やAGV使い「待たせない倉庫」実現
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Columns |
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物流企業の値段《第206回》
土谷康仁 東海東京インテリジェンス・ラボ シニアアナリスト
ヤマトホールディングス
重要目標である単価値上げは今後本格化
継続的な構造改革の効果顕在化に期待
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高度物流人材のためのリスキリング講座《第20回》
情報システムの基礎知識(3)
その他の注目されるICT
講師 梶田 ひかる
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フィジカルインターネット通信《第39回》
PI社会実装に挑む欧州IKIGAIプロジェクト
野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント
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海外トレンド報告
《欧米編》英国とポーランドが155ミリ砲弾の兵站で提携
《アジア編》中国の大型ドローン、非常時想定し大型貨物の連続投下に成功
《アフリカ編》ナイジェリア企業、空港ハンドリング機械化へ数億ドル投資
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NEWS ROOM
YKK APと大王製紙、北陸コカ・コーラボトが3社共同輸送
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湯浅和夫の物流コンサル道場
《第282回》〜温故知新編 第163回〜
「あらためて物流統括管理者を考える」
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物流指標を読む《第193回》
荷動き低迷続くも景気後退判定とならず?
NX総合研究所 佐藤信洋
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国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告
システムエンジニアリングの基本
《第4部》計画、組織、管理
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佐高信のメディア批評
発言だけは勇ましい“オンナ安倍”の高市
内政も外交も熟慮後の断行は望めず
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Information |
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CLIP BOARD
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●ロジスティード・中谷CEOが2027年度の再上場目指す考えを表明
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●全国軽貨物協会が安全運行管理支援アプリの機能強化
●トヨタL&F、トラック荷役作業に対応した自動運転フォークリフト発売
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DATA BANK
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●国土交通月例経済(国土交通省)
●デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査
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主要記事索引
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編集後記 |
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広告索引 |
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ロジビズ・オンライン ピックアップ(2025年9〜10月配信分より) |