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2023年4月号

    2023年4月号
     
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特集 EC物流市場


 

 

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【解説】

 

新たな物流市場セグメントの見取り図

 ECのフルフィルメントサービスは今や物流市場の新たなセグメントとして認知されている。大手EC事業者と発送代行事業者によるニッチなサービスから、裾野の広い成長領域に位置付けが変わり、既存の物流企業はビジネスモデルの変革を余儀なくされている。その全体像を俯瞰して当面の展開を読み解く。


 

 

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【第1部】

 

本誌調査:EC事業者の物流管理と外部委託

 今年2月にEC事業者の物流管理・運営体制、アウトソーシング戦略をアンケート調査した。全国のEC事業担当者500人が回答した。物流の現状、今後の方針、物流コストの傾向を規模別に比較した。物流KPIと宅配便(「宅急便」「ネコポス」「ゆうパック」「飛脚宅配便」)の契約料金も尋ねた。その結果、以下の点が明らかになった。

 

EC事業者の約6割は配送以外の物流業務を自社運営している。

全体の半数以上がアウトソーシングの利用を検討している。その一方、内製化や他社の物流業務の請け負いを検討している事業者も3割近くに上っている。

事業規模(年間物流コスト)が大きい事業者ほど売上高物流コスト比率が上昇する傾向にある。

物流管理の評価指標のトップ3は、1倉庫コスト、2宅配コスト、3作業品質。


 

 

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【第2部】

 

小売・EC物流の市場規模と業態別トレンド

矢野経済研究所 熊谷悠紀 生活・環境・サービス産業ユニット 研究員

 矢野経済研究所では、小売・ECを対象とした物流サービスの国内市場規模を、2021年度時点で前年度比5.1%増の7兆9千億円と弾いている。コロナ特需が剥落しつつある22年度も市場は成長を続けており、24年度には9兆1500億円に拡大することを予想している。


 

 

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【第3部】EC物流ソリューション

 

セイノーホールディングス

幹線+地域の運び手による置き配特化の宅配便

 置き配に特化したEC・通販事業者向けの宅配便サービスをジョイントベンチャーカンパニーのLOCCOが中核となって開発した。軽貨物運送事業者などを含む幅広い地域の運び手を組織化、フードデリバリーサービスなどとも連携して独自のラストワンマイル網を構築している。大都市圏や全国の政令指定都市を中心に対象エリアを拡大している。

 

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アイディーテンジャパン

日本酒を小口空輸の越境ECで世界に届ける

 日本の銘酒を1本から空輸する越境ECを実現した。EC・酒販・物流の3役を1社でこなして工数を削減、コストを抑えている。輸送重量を軽くするために銘柄のブランドイメージを損なわない缶入りバージョンも独自に開発した。世界50カ国への輸出実験を経て23年1月に一般消費者向けサービスを開始した。

 

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ディーエムソリューションズ

割安な全国一律料金で「ウルロジ」が急成長

 2020年8月に開始したEC物流代行サービス「ウルロジ」の取り扱いが急拡大している。DM事業の物量を生かした競争力のある料金を打ち出すことで、22年7月までの1年間で出荷個数は約4倍、荷主数は2倍以上に増えた。22年8月以降も前年度比1・5倍のペースで出荷個数が伸びている。早くも黒字転換が見えてきた。

 

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SBSホールディングス

合計20万坪のEC物流センターを全国に配置

 ECプラットフォーム事業に本格参入した。ECの全行程をワンストップで提供する「EC物流お任せくん」を展開して、2030年までにEC物流関連売上高を1千億円に引き上げる。複数拠点にEC専用区画を整備するとともに、24年にはEC物流の戦略拠点を稼働させる。その後も、全国にEC物流拠点を展開して合計約20万坪を整備していく。

 

 

 

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【第4部】米国市場の動向 流通コンサルタント 後藤文俊

 

現地報告 アマゾンvsウォルマート最新動向

 米ウォルマートはECとリアル店舗の融合によって、総店舗数を減らしながらも継続的に業績を拡大することに成功している。ネットスーパー事業でも従来の中低所得者層から高所得者層に顧客ターゲットを拡大することで先行するアマゾンに攻勢をかけている。一方、アマゾンのリアル店舗展開は迷走している。

 

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ドローン/ロボット 宅配自動化作戦の明暗

 アマゾンの配達自動化計画が暗礁に乗り上げている。昨年10月には宅配ロボット「アマゾンスカウト」のテストを中止。ドローン宅配「プライムエア」の配達実験も停滞して、開発チームの大規模なレイオフに追い込まれた。開発を続けるライバルたちとの差は開いていく。

 

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米ネットスーパーのフルフィルメント戦略

 大手チェーンストアが相次いで「ダークストア」を撤収している。その一方、スタートアップによる参入は今も後を絶たない。さらに、自動化ソリューションの英オカドと組む食品スーパー最大手のクローガーは、重装備の物流ネットワークを基盤とするネットスーパー事業を、リアル店舗のないエリアにも広げている。

 

 

 

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【第5部】中国市場の動向 流通経済研究所 李 雪 特任研究員

 

中国のECモデル:集中型から脱集中型へ

 アリババと京東の“2強”による市場の独占が揺らいでいる。ECの成長ペースが鈍化して、顧客獲得コストが急上昇している。その一方、拼多多、TikTok、Wechatなど、SNSのライブ配信やショート動画をベースにした多様なECモデルが登場、プラットフォーマーの牙城を侵食している。

 

拼多多 中・低所得者向け共同購買が急拡大

TikTok 即時配達と連携し「全域趣味型EC」

美団 フードデリバリーからEC全域に領域拡大

WeChat チャットアプリにECの「場」

 

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中国EC物流市場の注目プレーヤー

 フードデリバリーから波及した「即時配達」の定着が、宅配便をベースとしたECに変革を強いている。エリア内の当日配達サービス「同城配送」が急拡大、ECの脱集中化を新たな機会とする新サービスが次々に生まれている。順豊、京東、美団、菜鳥の動きを中心に報告する。

 

順豊 「順豊同城」を上場して攻勢かける

京東 全国10万店舗と連携して60分配送

美団 全国2千カ所に小型ダークストア

菜鳥 全国300都市で自社物流網を強化

京東物流 在庫最適化+宅配の一体サービスが急拡大

 

 

 

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【第6部】

 

「置き配」考─その進化と普及のシナリオ

NX総合研究所 長谷川 雅行 顧問

 「置き配」に代表される非対面・非接触型の荷物の受け取りが広がっている。その一方、荷物を軒先に放置するリスクは依然として解消されていない。本命はやはり宅配ボックス・宅配ロッカーだ。置き配を社会インフラと位置付けて、ハードの共有とソフトの標準化を進める必要がある。


 

 

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【第7部】

 

C2C─EC市場のロジスティクスの動向

東京経済大学 宮武宏輔 経営学部 准教授

 個人間のネット通販市場はBtoC-ECを大きく上回るペースで成長を続けている。2021年の市場規模は約2兆2千億円にも達した。その主要プレーヤーの動きとロジスティクスの現状を整理して、物流における課題とサポートサービスについての考察を基に、今後の展開を予想する。


 

 

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【第8部】海外論文

 

eコマースにおける包装の持続可能性

“Sustainability in e-commerce packaging : A review”

西カタルーニャ工科大 Silvia Escursell ほか

 ECの拡大に伴い梱包材の使用量が大幅に増加していることから、その環境負荷が注目されている。しかし、包装資材および包装技術の進歩は1990年代以降、停滞に陥り、現在の環境負荷低減やコスト削減のニーズに十分に対応できていない。最新の包装ソリューションの検証を通してその突破口を探る。

 

        Key Person
 
6
 

「多様なニーズに寄り添い生産性も高める」

関通 達城久裕 社長

 EC黎明期の1999年に、先陣を切ってEC物流に参入した。多品種少量で配送先が多いEC物流の難題を、現場作業のデジタル化で克服した。その過程で開発したWMSなど各種システムは、ITオートメーション事業として新たな収益部門へと発展している。一方、顧客需要に臨機応変に寄り添う手作業も重視している。

 

        Case Studies
 
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カゴメ〈組織〉

SCM本部に機能を集約してワンナンバー化

子会社統合で失った物流企画機能も再構築


        Columns
 
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物流企業の値段
《第180回》

米澤正祥 大和証券 シニアアナリスト

山九

独自のビジネスモデルを軸に業容を拡大
今後の成長の鍵は物流事業の利益率改善

 

  74  

ロジスティクス長期戦略 NEXT10

《第5回》Environment:環境

サプライチェーンの持続可能性マネジメント

対談 Hacobu 佐藤健次 執行役員CSO × EYストラテジー・アンド・コンサルティング 田岡 佑一郎 アソシエートパートナー

 CO2排出量の見える化と継続的な削減が物流管理の新たなミッションに加わり、荷主が下請け運送会社の労務管理にも責任を負うことになった。物流におけるESGは今やきれいごとでは済まないリアルな経営課題として浮上している。先進企業はどう動いているのか。どう動くべきなのか。

 

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ビジキャリ ロジスティクス管理2級 対策講座《第49回》

復習5 財務とロジスティクス

講師 梶田 ひかる

 

  84  
フィジカルインターネット通信《第9回》

PF連携を狙う欧州FENIXプロジェクト

野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント

  85  
トラサポ ダイアリー《第6回》

零細運送のリアルなコンプライアンス

行政書士 鈴木隆広 トラサポ代表

  86
 
海外トレンド報告

《欧米編》露のウクライナ侵攻1年、ロッテルダム港の需要落ち込まず
《アジア編》中国・広州の空港で航空物流情報プラットフォームが稼働

《アフリカ・中南米編》ブラジル海運大手Wilson Sonsが海事スタートアップを調査


  90
 
NEWS ROOM

日本郵便が国内物流子会社2社の事業を再編


  94  
湯浅和夫の物流コンサル道場

《第251回》〜温故知新編 第132回〜

発荷主・着荷主に新たな法規制案

 

  98  
物流指標を読む《第170回》

『荷動き指数』は当面の景気悪化を示唆

NX総合研究所 佐藤信洋


  100  

国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

社会インフラ設備のメンテナンスと

アセットマネジメント

 

  104  
佐高信のメディア批評

安倍側近のあまりに下品な言論弾圧

及び腰の「中立」が与党の横暴を許す

 

        Information
 

 

 

CLIP BOARD

 
66
 

流通・小売総合展で物流効率化に取り組む出展企業3社を取材

 

 
67
 

HacobuとBIPROGYグループが物流課題の解決目指し資本業務提携

来る「国内運賃3割値上げ」に備えよ ─船井総研ロジ赤峰氏がウェビナーで提言

 

 
77
 

KDDIスマートドローンとエアロネクスト、地方のドローン物流拡大に注力

 

 
83
 

日本GLP・帖佐社長が今後の物流施設開発など事業の基本方針説明

オカムラがかご車の搬送や整列配置可能なAGV公開

 

 
89
 

ZOZO、茨城・つくばで自動化推進の新物流拠点公開

NECが倉庫の作業変化に柔軟対応可能なロボット制御AIを開発

 

 
103
 

首都圏地盤の食品スーパー4社、物流危機回避へ「研究会」立ち上げ

 

 

 

 

DATA BANK

 
105
 

国土交通月例経済(国土交通省)

デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査

〜物流施設の賃貸マーケットに関する調査〜

東京圏は新規供給が調査開始以来最大に

一五不動産情報サービス

 

 

110

 

主要記事索引

  114   編集後記
  115   広告索引
  115   ロジビズ・オンライン ピックアップ(2〜3月配信分より)

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