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2023年10月号

    2023年10月号
     
      Cover Story
   


特集 物流不動産 2023


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【第1部】CBRE市場解説

 

需要は堅調ながら首都圏市場は踊り場に

CBRE 高橋 加寿子 シニアディレクター

 大型マルチテナント型物流施設の需要は全国的に堅調だが、首都圏では23年Q2の空室率が8.2%と、16年Q3(9.1%)以来の高い水準となった。物流の2024年問題や製造業の国内回帰、建築費の高騰などが絡んで供給面、需要面に影響を与える複雑な環境となっている。

 

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【第2部】JLFI市場解説

 

二つのギャップの発生で開発難易度が上昇

日本ロジスティクスフィールド総合研究所 辻 俊昭 代表

 2023年の物流不動産マーケットは開発量、需要量とも過去最大を更新する。一見すると活況を呈しているようだが、市場環境は昨年を境にしてそれまでとは大きく変化している。需給面、賃料水準面でのギャップが拡大して、開発の難易度が上がっている。マーケットの変化と当面の見通しについて解説する。

 

30

 

【第3部】

 

CRE 4大都市圏17エリア:市場リポート

シーアールイー 隅野英樹 マーケティンググループ グループリーダー

 新規供給は2023年をピークに減少傾向に転じるだろう。ただし、大型マルチテナント型施設の開発はハイペースを維持する。多層階のボックス型や中小型施設から、十分なバース数を備え、ワンフロアを大きくとれる大型施設への転居が進む。施設タイプ・立地・開発事業者によって大きく明暗が分かれる局面を迎えている。

 

首都圏/近畿圏/中部圏/九州圏 小エリアの動き

首都圏

都内湾岸 坪7千円〜8千円でさらに上昇傾向が続く

千葉湾岸 4千円台〜5千円台後半でいったん落ち着く

神奈川湾岸 23年2Qに空室率が20%超まで上昇

埼玉関越・東北道 3千円台前半〜後半の割安な水準を継続

千葉東葛 柏・流山とその他エリアで状況が二分化

東京神奈川西 当面は大量の新規供給が続くも底堅い

埼玉南部西 4千円台後半〜5千円台半ばから上昇も

茨城南西 3千円台半ば〜後半の割安な賃料を維持

成田 需給状況・賃料水準とも大きな動きなし

 

近畿圏

北摂東大阪 新規施設の募集賃料が5千円台に高騰

大阪湾岸 供給不足で賃料相場は上昇する傾向

阪神神戸港 旺盛な需要で消化が進み賃料は上昇傾向

神戸内陸 新規募集賃料4千円超えで空室率に懸念

 

中部圏

名古屋北 大量供給を消化して賃料相場は上昇傾向

名古屋南 23年3Qの新規供給の動向に注目

 

九州圏

福岡 24年の新規供給が低空室率の試金石に

鳥栖 23年3Q〜24年の大量供給が賃料左右

 

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【第4部】大手デベロッパー4社:インタビュー

 

プロロジス 山田御酒 会長兼CEO

「供給ラッシュはピークを越えて新局面に入る」

 10年以上にわたり右肩上がりが続いた市場は2023年にピークを迎えた。今後は調整局面に入る。空室を埋めることができず、そのまま売却される物件も既に一部で出てきている。建設コストの上昇を賃料に転嫁できないと、開発にもブレーキがかかる。物流施設そして事業者の優勝劣敗が明確になる。


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日本GLP 帖佐義之 社長

「ALFALINKは物流コミュニティを作り出す」

 「ALFALINK(アルファリンク)」のブランドを冠した国内最大級の物流施設開発プロジェクトが今年6月に神奈川県相模原市、7月に千葉県流山市で相次いで完成した。単独施設の建設とは全く異なるコンセプトで臨んだ開発が、新たな物流コミュニティを生み出し、想定を超えて成長を続けている。


44

 

大和ハウス工業 更科雅俊 執行役員

「物流施設と住宅が調和する街づくり進める」

 物流を軸とした街づくりに乗り出している。流通加工中心の物流センターは消費地に近く、庫内労働力を確保しやすい立地を必要とする。周辺の地域社会と調和した物流施設の開発が求められる。住宅やオフィス、商業施設の開発も手掛ける総合デベロッパーとしての強みを生かせる。


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ラサール不動産投資顧問 奥村邦彦 社長兼CEO

「ソーシングとリーシングの力量が問われる」

 物流施設を開発すればすぐにテナントを獲得できた時代は終わりを告げようとしている。今後は投資案件を的確に判断し、優良な土地を仕入れて最適なテナントを引き付ける総合力が問われる。既存物件に手を入れて省エネ性能向上などを図り価値を高める手法も有効になる。


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【第5部】マーケットリポート

 

「建設の2024年問題」で開発事業に暗雲

 賃貸物流施設市場は大量供給による競争激化を受け、デベロッパー自身がテナントの自動化・省人化支援にまで踏み込む「ソリューションプロバイダー」化の動きが続いている。ただし、建築費高騰に加え、建設業界の「2024年問題」が間近に迫り、関係者らの間では開発が制限されかねないことへの不安が広がっている。

 

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日本政策投資銀行 安松志郎 経営企画部 参事役

「競争的な市場がサステナビリティを進化させた」
 物流不動産の領域でも再生可能エネルギーの積極的な活用など、サステナビリティ(持続可能性)を重視する動きが広がっている。背景には大量供給が続き、デベロッパーが競争力のある案件を開発する必要に迫られたことが大きい。人口減少下で従業員が働きやすい就労環境の整備は今後もデベロッパーに強く求められる。

 

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【第6部】海外論文

 

輸送効率重視の土地利用:方法、戦略、ツール

“Freight-Efficient Land Uses: Methodology, Strategies, and Tools”

米レンセラー工科大 Jose Holguin-Veras 教授ほか

 貨物輸送はその経済的便益とともに、交通渋滞や環境汚染などの負の外部性を生み出す。しかし、サプライチェーンの効率化とコストの最小化という民間セクターの目標は、輸配送由来の外部性を最小化するという社会的目標と必ずしも矛盾しない。貨物輸送を地域社会にシームレスに組み込む方法として「輸送効率重視型土地利用」を提唱する。

 

        Key Person
 
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「BtoB物流を国産ロボットで自動化する」

LexxPluss 阿蘓将也 代表

 ロボット開発スタートアップとして2020年3月に創業、今年5月までに累積20億円を調達した。BtoB倉庫の自動化がターゲットだ。自動搬送ロボットを国内生産、技術情報をパートナーに公開して有力ベンダー35社以上と協業体制を敷いている。今年8月に同社顧問に就任したフレームワークスの秋葉淳一会長と共に話を聞いた。

 

        Case Studies
 
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コープさっぽろ〈物流戦略〉

内外の先進事例を手本に物流内製化を推進

道内随一の物流プラットフォーマーに進化


        Columns
 
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物流企業の値段
《第185回》

土谷康仁 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニアアナリスト

SGホールディングス

エクスポランカ社のガバナンス強化に期待
宅配便の単価上昇でデリバリー事業は堅調

 

  70  

ビジキャリ ロジスティクス管理2級 対策講座《第55回》

復習11 物流品質管理

講師 梶田 ひかる

 

  76  
フィジカルインターネット通信《第15回》

欧州の物流脱炭素化施策からの学び

野村総合研究所 水谷禎志 エキスパートコンサルタント

  78  
トラサポ ダイアリー《第12回・最終回》

トラサポは運送業許認可を極める部活動

行政書士 鈴木隆広 トラサポ代表

  80
 
海外トレンド報告

《欧米編》英国の貨物飛行船開発計画に、スペイン航空会社が参画
《アジア編》台湾高雄港で、同国初の自動コンテナターミナルが稼働開始

《アフリカ・中南米編》南ア貨物鉄道、新防犯対策で鉄道犯罪容疑者逮捕に成果


  84
 
NEWS ROOM

アスクルと花王、コクヨが発注量の平準化実験


  90  
湯浅和夫の物流コンサル道場

《第257回》〜温故知新編 第138回〜

持続可能な物流の実現に向けた歩み

 

  94  
物流指標を読む《第176回》

2024年問題は航空輸送の追い風となるか

NX総合研究所 佐藤信洋


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国際ロジスティクス学会[SOLE]日本支部報告

【LEM概論】ライフサイクルコスト分析

 

  100  
佐高信のメディア批評

「国会議員70歳“定年制論”」も虚しく

自民党の高齢化と老害拡大が止まらない

 

        Information
 

 

 

CLIP BOARD

 
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エニキャリ小嵜秀信代取締役に聞く、ラストワンマイル物流の共通インフラ化

 

 
63
 

東京流通センター新A棟が完成、延べ床面積20万2千平方メートル、最小480平方メートルからスペース提供

佐川が静岡・浜松でユーグレナのバイオ燃料活用開始

 

 
77
 

ドローンなど活用の「スマート物流」でシンポジウム開催(後編)

 

 
79
 

RFID大手の米エイブリィデニソン・三井氏インタビュー

 

 
83
 

トラック自動運転開発のT2が新たに35億円調達

清水建設など3社が無人搬送フォークリフト活用支援で合弁開始

 

 
99
 

ヤマトが三菱ふそうのEVトラック900台導入へ

2024年問題に焦点当てた「第3回INNOVATION EXPO」開催

 

 

 

 

DATA BANK

 
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国土交通月例経済(国土交通省)

デカルト・データマイン 海上コンテナ輸送量実績調査

〜物流施設の賃貸マーケットに関する調査〜

東京圏の新規需要は堅調も、空室率上昇は止まらず

一五不動産情報サービス

 

 

106

 

主要記事索引

  110   編集後記
  111   広告索引
  111   ロジビズ・オンライン ピックアップ(2023年8〜9月配信分より)

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