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【第1部】日本が世界市場で勝てない理由 サムスン電子の強さの秘密は、経営層の意思決定能力とSCMにある。この二つは「S&OP」と呼ばれるコンセプトで結ばれている。日本ではまだ、あまり知られていない言葉だが、グローバル市場で戦う企業にとっては今や常識となっている。 「サムスンは顧客サービスから始めた」
スタンフォード大学ビジネススクール スンジン・ワン 教授
【第2部】 グローバル競争のSCM戦略 「トップダウンでSCMの意思決定を」 PwC PRTMマネジメント 尾崎正弘パートナー、上野善信マネージャー サムスンやアップルなどのライバルと比較すると、日本企業のグローバル経営は周回遅れにある。まずはキャッチアップが必要だ。S&OPを始めとするソリューションを導入してトップダウンの意思決定を強化する。そのうえで自らの強みを活かした独自のモデルを見つけ出していかなくてはならない。 「経営スピードの圧倒的な違いに気付け」 野村総合研究所 藤野直明 上席コンサルタント ビジネスイノベーション事業部長 世界のエクセレントカンパニーはS&OPプロセスを従来から愚直に運用してきた。長期の計画と短期のオペレーション計画を統合するために、18カ月先までの事業計画のローリングを毎月繰り返してきた。その仕組みを持たない限り、複雑なサプライチェーン問題の意思決定は下せない。 「新興国市場にこそS&OPを適用しろ」 クロスフェイス 永海靖典 COO 商品は先進国向けの劣化版。資金回収が怖いので掛け売りはしない。売れ残った在庫は流通業者に値引き販売で押しつけ、後は知らぬ振り。そんな場当たり的な戦略で新興国市場を攻略できるはずがない。市場環境の未整備な新興国にこそS&OPを適用して管理を強化すべきだ。
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【第3部】 在庫問題解決の新潮流 ─ S&OP 梶田ひかる 高崎商科大学商学部 特任教授 S&OPは在庫問題を抜本的に解決するソリューションとなり得る。そのカギを握るのは営業部門だ。顧客情報の入手による予測精度の向上、計画通りに売り切るマーケティング能力の獲得、そしてオペレーション部門との連携に向けて、営業部門改革を押し進める必要がある。
【第4部】 日本のS&OPはどこまで来たか
ハウス食品 ── 市場対応型の生産供給体制を構築 部門最適から脱し、市場対応型の生産供給体制を構築するため、2003年7月にSCM部を設立。以降、需給計画業務の統合や精度向上に努めてきた。さらに2009年からはサプライチェーンのオペレーションを経営レベルの事業計画と結びつける取り組みもスタート。コスト削減を越えた貢献を目指している。 JFEスチール ── 営業・生産・物流の実行計画を統合 2009年11月、S&OPを中核とする新システムを稼働させた。それまで営業、生産、物流が別々に立案していた実行計画を統合し、市場の変化に柔軟に対応できる体制を整備した。計画立案作業のリードタイムが半減し、月次で半期計画をローリングさせることが可能になった。
【第5部】 米ソニー・エレクトロニクスの挑戦
米ソニー・エレクトロニクスは2009年に「S&OP」と「CPFR」の統合を実施した。大手小売りとのコラボレーションによって、予測精度の向上と在庫オペレーションの最適化を図った。その結果、メーカーと小売り双方の期待を大きく上回る成果を上げることができた。
【第6部】 S&OPを成功に導く処方箋
「What-If」シナリオを瞬時に提供 キナクシス・ジャパン 金子敏也 社長 情報の粒度が粗利率を左右する 日本IBM 佐伯哲雄 SCMコンサルティング シニア・マネージャー 「S&OP推進部隊」を組織せよ KAIコンサルティング 貝原雅美 代表
「需要予測から需要コントロールへ」 JDAソフトウェア・ジャパン 鈴木洋史 社長
需要予測精度の向上によるコスト削減から一歩踏み出し、需要自体をコントロールしようとする取り組みが現在、本格化している。マニュジスティックスやi2テクノロジーズなどのかつての有力SCPベンダーを買収・統合したJDAソフトウェアがそのシステムを提供している。
大手卸が物流専業者と合弁会社を設立し スポーツ用品の物流プラットフォーム構築
物流システムの再構築を日立物流に委託 ライバルとの共同化にコスト削減を期待
5つのSCM戦略で不確実性に対応 新興国で顧客10億人の獲得目指す
全日本空輸 営業利益目標1500億円の達成へ LCC戦略と沖縄貨物ハブの拡大に注目
《欧米編》 欧州のトラック運賃が需要減で低下 《中国編》 電子商取引関連の宅配便取扱量が急増
《第117回》 〜メーカー物流編 第28回〜
「『必要なものしか作らない』ことを 軸にして生産の見直しを進めたら、 次々と改善提案が出てきたんです」
“ただのタブロイド・ジャーナリズム”が暴露 オリンパス問題を報道しないメディアの堕落
日本ロジファクトリー 青木正一 代表
国内貨物輸送量が13年ぶりの増加へ
物流行政を斬る《第10回》 配送費込みの取引制度下では 流通の全体最適化は不可能。 米国を参考に新制度の議論を 産業能率大学 経営学部 准教授 (財)流通経済研究所 客員研究員 寺嶋正尚
「サプライチェーンAPS」システムで 工程間のつながり見えるSCMを実現
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●国土交通月例経済(国土交通省) ●物流施設の賃貸マーケットに関する調査 一五不動産情報サービス 調査レポート
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●「エコドライブシンポジウム」を開催/交通エコロジー・モビリティ財団