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【第1部】法改正が迫る新たな波動対応 今年10月1日から日雇い派遣が原則禁止になる。仕事量に合わせて現場に投入する労働力を柔軟にコントロールする仕組みを、新たに社内に構築する必要がある。それが無理ならアウトソーシングしかない。対応を現場任せにしていれば、いずれコンプライアンス問題に直面することになる。
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「法改正の趣旨に反する行為は許さない」
厚生労働省 派遣・有期労働対策部 需給調整事業課 佐藤康弘 課長補佐 今年3月、改正労働者派遣法が成立した。当初の政府案から大幅に内容は後退したが、労働行政が従来の規制緩和政策から方針を転換し、労働者保護に舵を切った意義は大きい。ただし、改正法は多くの“グレーゾーン” を含んでいる。その運用次第で物流業界に与える影響は大きく変わってくる。
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「ワーキングプア問題は悪化している」
派遣ユニオン 関根秀一郎 書記長 ワーキングプア問題は改善どころか悪化している。日雇い労働者の賃金はその後も低下を続け、今や最低賃金に張り付いている。法改正は不十分だ。まずは登録型派遣の原則禁止と製造業派遣の禁止を実施し、同一価値労働・同一労働条件の実現に向けて進んでいく必要がある。
【第2部】「日々紹介」とどう向き合うか
ロジラテジー 栃本 浩昭 コンサルタント 日雇い派遣の禁止を受けて「日々紹介」と呼ばれるサービスが登場している。これまで通り、必要な時に必要な数の作業員を電話一本で調達することができる。2カ月もあればサービスを利用する準備は整う。直接雇用化へのはじめの一歩だ。ただし、その“副作用” に注意する必要がある。
【第3部】ポスト日雇い派遣のビジネスモデル 日雇い派遣の禁止が、物流現場へのスポット派遣をメーンにしてきた人材派遣会社に大幅な業態転換を迫っている。当面は日々紹介に移行して雇用管理代行にソリューションを拡大するか、あるいは業務請負会社として物流業界に参入するか、大きく2つの選択肢がある。
「時間単位のマッチングを実現する」
フルキャストホールディングス 常葉浩之 社長CEO 日雇い派遣事業から完全に撤退し、日々紹介に舵を切る。改正法の枠組みの下で、短時間労働者の人集めから雇用管理までの機能を一括して提供することで、これまでと同様のサービスを維持する。さらに1時間単位の需給調整を実現し、埋もれている労働力を掘り起こす。
【第4部】それでもドライバー派遣は増え続ける ドライバーのスポット派遣も原則禁止になる。しかし、ドライバーの採用難には今後いっそう拍車がかかる。中長期の派遣ニーズは高まり、市場は拡大する。それを見越して有力プレーヤーはドライバー派遣事業の強化に動いている。
【第5部】レイバーマネジメントで差別化する
アール・ケイ・トラック──「登録アルバイト制度」で日雇い脱却
派遣法改正議論の高まりや抵触日問題を受けて、日雇い派遣からの脱却を決断。人材派遣会社のビジネスにヒントを得て、独自の直接雇用体制を築いた。派遣スタッフはピーク時の半分にまで減少。人件費は下がり、生産性は向上した。法改正までの残り2カ月で、派遣ゼロ体制を整える。
ヤマト運輸──「チーム集配」で主婦パートを前線に
昨年4月からフルタイムのセールスドライバーとパート社員がチームを組んで宅急便の集配作業を行う「チーム集配」の導入を進めている。朝夕にピークがある日々の業務量の波動や季節変動に応じて、チームに投入するパートの人数を調整することでコスト効率を維持している。
SGホールディングスグループ──労働規制強化を差別化の機会に
3PL事業では人材派遣会社と同様の機能を社内に構築。作業量の予測精度を向上させて、波動対応力で差別化を図っている。宅配便事業向けにはグループ内に業務請負会社を設立。業界に先駆けて直接雇用化を進め、そのノウハウを外販することで新たな収益源に育てる。
日本梱包運輸倉庫──正社員作業員の機動性を武器に
正社員作業員の機動性を駆使して物量の波動に対応している。同社が特色とする「自前主義」が労働力管理にも色濃く表れている。倉庫の稼働データを基に人員の適正配置に努めるといった地道な工夫にも余念がない。
ロジパートナーズ──パート作業員の多能工化を推進
繁忙期に返品担当者を出荷作業に投入するパートの多能工化に取り組んできた。その運用が安定したことで、作業人件費を約二割削減できた。さらには、年内をメドに、パート全員を“オールラウンドプレーヤー”に育て上げる計画だ。
鈴与──職場への愛着が柔軟性を生む
派遣スタッフの利用は作業員の1%以下に過ぎない。1995年に子会社として設立した業務請負会社に波動対応のノウハウを蓄積してきた。現場間・拠点間で作業員を融通する「総合手配」と呼ぶ調整機能を、パートの高い定着率が支えている。
「今度は物流業がやり玉に挙げられる」
リクルート ワークス研究所 中村天江 研究員 かつて世間を騒がせた“派遣切り”は製造業の問題だった。今回の派遣法改正で、今度は物流業がやり玉に挙げられる恐れがある。日雇い派遣の禁止は労働規制強化の始まりに過ぎない。物流現場のコンプライアンスを改めて見直す必要がある。
グループ統合に続きライバルとも共同化
国内市場の成熟と低価格化で協調路線へ
国内外の工場で受注〜出荷を統合管理
協力会社ともリアルタイムで情報共有
「バリューソーシング」で購買戦略を刷新
自前主義を改めサプライヤーとの連携強化
物流企業決算ランキング
《欧米編》米アーカンソー・ベストが同業他社を買収 《中国編》1〜5月の社会物流総額は10%増の67兆元
《第124回》 〜温故知新編 第5回〜
「物的流通」という言葉の始まり
海外メディアも呆れる政府方針そのままの報道 「原発のウソ」を訴える小出裕章のマスコミ批判
平田義章 国際ロジスティクスアドバイザー
Part2 欧米市場の発展と日本
日本ロジファクトリー 青木正一 代表
経営者と物流現場で異なる景気判断
物流行政を斬る《第17回》 整備新幹線三区間の着工を 国土交通省が正式に認可、 投資効果に疑問符も 産業能率大学 経営学部 准教授 (財)流通経済研究所 客員研究員 寺嶋正尚
アセットマネジメントと保全革新 プラントビジネスの新たな展開
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●国土交通月例経済(国土交通省) ●物流施設の賃貸マーケットに関する短期予測 一五不動産情報サービス
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●不動産盟主2社、物流施設に本腰/三菱地所が国内最大級の案件着手 ●クラウドベースS&OPのプロバイダー/米スティールウェッジが日本法人開設