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【解説】PB台頭、商社系列化で何が変わる PBの拡大が止まらない。総合商社による食品卸の系列化も進んでいる。メーカーが築き上げてきたサプライチェーンが大きく塗り替えられようとしている。その行き着く先は欧米型の寡占化か、それとも日本特有の小規模分散が独自の進化を遂げるのか。誰と組み、誰と戦うか。経営レベルのSCMが問われている。
「ECRは水面下で広がっている」
デロイト トーマツ コンサルティング 矢矧晴彦 パートナー
「欧米標準を凌駕するPBが現れた」
拓殖大学 商学部 根本重之 教授 現在のPBの台頭は、これまでのようなブームには終わらない。イオンは「トップバリュ」でロジスティクス付きPBを確立した。そしてセブン&アイの「セブンプレミアム」は、欧米標準のPBを凌駕している可能性がある。
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「日本型S&OPへの挑戦が始まっている」
アビームコンサルティング 安井正樹 執行役員プリンシパル 大量のアイテムを少ない在庫で回して、しかも欠品させない。緻密な管理を徹底することで日本の食品メーカーは、グローバル企業を遙かに超える水準までSCMを進化させた。次のテーマはS&OPだ。「日本型S&OP」の構築に向けて、先進的なメーカーは既に動き出している。
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「ナショナルチェーンに局地戦で挑む」
エコス 平邦雄 社長 グループで関東圏に約100店舗の食品スーパーを展開すると同時に、地域スーパー56社で構成するボランタリーチェーン、セルコグループの中核企業として活動している。物流の共同化を主導して効率化を進めると同時に、地域密着を徹底してナショナルチェーンに局地戦を挑んでいる。
メーカー
アサヒビール──鮮度競争からコラボレーションへ
メーカー在庫は既に3日台まで抑制された。取引制度改革で流通在庫の削減も済ませた。キリンビールとの物流共同化にも踏み切った。個別企業の取り組みは既に限界に近付いている。次のステージへの突破口を、製配販3層による日本型コラボレーションに期待している。
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キユーピー──在庫削減を卒業して次のステージへ
「在庫削減」をSCMのメーンテーマに位置付け、華々しい成果を挙げてきた。2000年代半ばに取り組みのステージを一段上げた。SCMの目的をコスト削減から企業体質の強化にシフトさせた。「コミュニケーション型SCM」がそのコンセプトだ。
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流通業
ベイシア──満を持して新常温DCを千葉に稼働
今年10月、常温商品で2つ目となる在庫型センターを千葉に稼働させた。対象エリアで十分な物量を確保できたことから、既存の通過型センターを廃止し、大型拠点を新設した。約10%のコスト削減を見込んでいる。物流の効率化によってEDLPをさらに強化する。
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マルエツ──独自物流網整備でコンビニに対抗
コンビニ並みの利便性とスーパーの品揃えを両立させた小型店を都心部のスーパー空白地に集中出店している。それを支える物流インフラの整備を2010年から進めてきた。関東に12カ所あった拠点を4カ所に集約。物流コストを約3割下げると同時に新フォーマットに適応した物流サービスを実現した。
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カクヤス──23区を小商圏に分割して自社配送網
量販店や大型ディスカウントストアに対抗するため、店舗から半径1.2キロメートルを商圏に設定。多店舗展開によって東京23区をカバーする酒の宅配ネットワークを自前で構築した。これをプラットフォームとして、多彩な業種からなる「仮想専門店街」を形成しようと目論んでいる。
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外食チェーン
松屋フーズ──自社運営の戦略拠点を新設し出店攻勢
生産機能と物流機能を統合した戦略拠点を新設。それまで3PLに委託してきた庫内オペレーションを内製化した。食材の店舗直送率を高めると同時に物流センターへの横持ち輸送費を解消した。物流インフラの整備を進めて出店スピードを上げる。同様の拠点を次は関西に建設する計画だ。
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サイゼリヤ──「製造直販」で品質向上とコスト削減を両立
外食業界では異色の垂直統合型サプライチェーンを構築し、食材の品質向上とコスト削減を同時に進めている。野菜はほぼ100%を契約農家から仕入れて、独自のコールドチェーンで店舗まで運ぶ。海外の産地にも自社施設を置いて調達をコントロールしている。
リンガーハット──野菜や麺用小麦の全国産化を断行
野菜や麺用の小麦を輸入品から切り替えて、すべて国産に変更した。野菜は年間8億〜9億円のコストアップとなり、若干の値上げを余儀なくされたが、消費者には受け入れられた。物流面ではエリア拡大に対応したネットワークの構築が課題だ。ただし、大型投資は避けたい。協力物流会社とのパートナーシップに期待している。
物流事業
日本アクセス──ロジスティクス事業を収益の柱に
昨年3月、日本アクセスは同じ伊藤忠商事グループの物流会社、ファミリーコーポレーションを吸収合併した。これにより、同社のロジスティクス事業は、食品物流大手のキユーソー流通システムやニチレイロジと伍す規模に拡大した。これまで商流の附帯サービスとして位置付けていた物流を、収益の柱に育てる方針を固めている。
ニチレイロジグループ──小売りの業態変化をビジネスチャンスに
小売店舗のフォーマットが大きく変わり始めている。スーパーやドラッグストア、コンビニといった業態の垣根が崩れ始めた。物流に求められる機能も三温度帯の一括管理が前提になってきた。低温の領域を強みとする物流企業に大きなビジネスチャンスが訪れている。
「消費税増税がメーカーをふるいに掛ける」
川島ロジスティクス研究所 川島孝夫 代表 来る消費税の増税は、食品メーカーにもう一段の原価低減を迫る。調達を食材メーカーや商社に依存し、中間品を加工販売するだけのメーカーはこれに対応できない。本格的なコスト競争を迎え、SCMの実力が改めて試されることになる。
売上高物流費比率を8期連続で改善
フマキラーとのシナジー効果も実現
小売店向け小分けセンターを全国に展開
5度の検品で誤出荷率100万分の2を実現
米サイモン&シュスター〈欧米SCM会議22〉
処理能力の増強によって拠点を統合 音声ピッキング導入で生産性は3倍に
全日本空輸
新たなステージへ足を踏み入れたANA 復活したJALとの競争に積極策で挑む
《欧米編》英ロイヤルメールが小包部門強化に100億円 《中国編》武漢とチェコ結ぶ国際貨物列車が開通
《第128回》 〜温故知新編 第9回〜
花王の販社制度改革を振り返る
逆襲にあっさり白旗を掲げる佐野眞一の腰砕け ジャーナリズムへの信頼性を毀損した連載中止
平田義章 国際ロジスティクスアドバイザー
Part6 新興国市場の変貌とアメリカの復活
「Agility Emerging Markets Logistics Index 2012」を読む
日本ロジファクトリー 青木正一 代表
日中関係悪化の波紋
物流行政を斬る《第21回》 電車の混雑率が高い日本 時間帯別の料金体系を確立し オフピーク時の乗車を促せ 産業能率大学 経営学部 准教授 (財)流通経済研究所 客員研究員 寺嶋正尚
工場の生産効率を大幅に改善 構内物流が果たすべき3つの役割
DATA BANK
●国土交通月例経済(国土交通省)
CLIP BOARD
●ニチレイロジグループが初めてセミナーを開催/パートナーシップに基づく3PL事例を紹介
●「物流施策大綱」の見直しがスタート/災害やグローバル化の対応が焦点に