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2008年3月号 |
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特集 流通業の物流
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第1部 メーカーを呑み込み垂直統合
センターフィーで利ザヤを稼いでいるうちは、まだ可愛い。巨大化した小売業は、流通の川上に遡り、メーカーを支配下に置き始めている。SCMの主導権はカテゴリーシェアが握る。業態や業種の違いは関係ない。メーカー、卸、小売り、物流企業まで入り乱れ、サプライチェーンの覇権争いが激化している。
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18
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第2部 イオンが仕掛ける3兆円物流
2007年8月、イオンは物流管理業務を分社化した。新たに発足した機能子会社「イオングローバルSCM」は、店舗配送だけでなく国際調達まで含むサプライチェーン全域の物流管理を担う。08年度に約1.7兆円と見込んでいる商品通過額を、グループ企業や提携企業の物流ニーズを取り込むことで2010年度には3兆円まで拡大する方針だ。
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Interview プリモリサーチジャパン 鈴木孝之 代表
「PBと圧倒的購買力がメーカーを襲う」
イオンの“需要集約”は一般に考えられている以上のインパクトを持っている。その販売力は閾値を超えた。もはやトップメーカーでさえイオンの前にひれ伏すしかない。巨大化した流通グループが市場を寡占化し、メーカーを系列化する欧米型のサプライチェーンに、日本市場もシフトしていく。
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第3部 センターフィー問題の解決策
寺嶋正尚 (財)流通経済研究所 主任研究員
センターフィー問題が深刻化している。小売業の多くが、自社専用センターの運営費にマージンを上乗せした費用をベンダーから徴収することで利ザヤ稼ぎに走っている。サプライチェーンの効率化は棚上げにされ、合理性を欠いた新たなリベートがベンダーの収益を圧迫している。
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28 |
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Interview 菱食
広田正 相談役
「日本の中間流通は世界で通用する」
巨大化して力を付けたチェーンストアはもはや卸売業を必要としない。大手食品卸の菱食は1980年代にはそう見切りをつけていた。そして中堅の食品スーパーをメーンの顧客業態として位置付け、そこで必要とされるITと物流機能の整備を地道に進めてきた。そのノウハウは世界で通用すると自負している。
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第4部 小売業態別ロジスティクスに挑む
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30 |
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スケール活かして海外各地に混載拠点
──DCM Japan
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物流子会社を新設してプロセス改革
──コーナン商事
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ドミナント戦略でGMSを迎え撃つ
──エコス
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「100円生鮮コンビニ」の物流に挑む
──九九プラス
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中小スーパーの調達力を革新
──AKR共栄会
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2
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KEYPERSON
「日本市場は食品スーパーが先導する」
荒井伸也 オール日本スーパーマーケット協会 会長(作家・安土敏)
流通外資は日本の小売市場を理解していない。GMSも自らの業態を読み間違えた。鮮度の良い食材を求めて毎日買い物に行く日本人の消費行動が変わらない限り、日本ではこれから食品スーパーが小売業態の王様になる。そこでは生鮮品のロジスティクスが絶対的な差別化要因になっている。
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新連載 物流格差社会
─フリーターが見たネット通販の裏側
経営破綻したPCサクセス
誤出荷頻発でクレーム殺到
中村文丈
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トライネット・ロジスティクス〈ビジネスモデル〉
複合物流基地で樹脂のバルク化推進
日本初の「サイロシステム」も導入
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富士物流〈現場改善〉
トヨタ生産方式の導入で生産性が2倍に
改善続け業界トップの現場力を目指す
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物流IT解剖
《第12回》
西濃運輸
汎用機をオフコンに換えてコスト削減
災害対策とデータの可視化も同時に実現
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物流企業の値段
《第37回》
日本通運
土谷康仁 メリルリンチ日本証券 調査部
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■■欧州レポート■■
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海外トレンド報告【Report】
欧州サプライチェーン&ロジスティクス会議(8)
米ニューウェルラバーメイド
買収効果を活かせずに赤字に転落
サプライチェーン統合で収益回復
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海外トレンド報告【News】
欧米編・中国編
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湯浅和夫の物流コンサル道場
《第71回》
〜大先生の日記帳編 第6回〜
物流センター問題を解く──その1
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佐高信のメディア批評
取材は相手との一騎打ちと高言した田勢康弘
今や見る影もない著名ジャーナリストの堕落
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奥村宏の判断学《第70回》
よみがえる世界恐慌の危機
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ロジスティクス・システムの発展
《第3章》 変異はどのようにして起こったか
阿保栄司
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事例で学ぶ現場改善
《第62回》 小規模物流会社T社の事業承継
日本ロジファクトリー 青木正一 代表
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物流不動産市場レポート《特別編》
三大都市圏【07年下半期】
物流施設賃貸市況分析
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The
International Society of Logistics
国際ロジスティクス学会[SOLE]報告
利益アップの第一歩は物流品質改革
センター業務改善へのアプローチ |
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DATA
BANK
●国土交通省 月例経済報告
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CLIP BORD(1)
●日本のロジスティクスIT市場の現状/オラクルの物流製品戦略責任者が解説
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CLIP BORD(2)
●書評 「価値発現」のロジスティクスを解く/多摩大学大学院修士論文集の第2弾が刊行
●家電にICタグ内蔵し事故製品の所在把握/みずほ情報総研がエディオンで実証実験
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主要記事索引 |
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編集後記 |
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広告索引 |
[ keyperson ]
荒井伸也 オール日本スーパーマーケット協会 会長 (作家・安土敏)
2008年3月号
流通外資は日本の小売市場を理解していない。GMSも自らの業
態を読み間違えた。鮮度の良い食材を求めて毎日買い物に行く日本
人の消費行動が変わらない限り、日本ではこれから食品スーパーが
小売業態の王様になる。そこでは生鮮品のロジスティクスが絶対的
な差別化要因になっている。
[ NEWS ]
海外トレンド報告
2008年3月号
マースクライン
新戦略で大幅に人員削減
■同社プレスリリース 1・8
デンマークのA・P・モラー─マ
ースクのコンテナ船部門、マースク
ラインは、新経営戦略を発表した。
二〇〇〇人から三〇〇〇人の人員
削減などの合理化も実施する。
[ NEWS ]
海外トレンド報告(中国編)
2008年3月号
中国国際海運集装箱集団
中国石油天然気運輸と戦略提携
■1・7
コンテナ製造大手の中国国際海運
集装箱集団(CIMC)は、中国石
油天然気集団(CNPC)の子会社、
中国石油天然気運輸(CPTC)と
戦略的提携を結んだと発表した。
CIMCは、CPTCに対し物流
機器・サービスを提供する。CPT
CはCIMCに石油化学製品を提供
する。
[ SOLE ]
利益アップの第一歩は物流品質改革センター業務改善へのアプローチ
2008年3月号
SOLE日本支部では毎月「フォ
ーラム」を開催し、ロジスティクス
技術、ロジスティクスマネジメントに
関する活発な意見交換、議論を行い、
会員相互の啓発に努めている。新年
度第一回目となる一月度のフォーラ
ムは、ロジスティクスの原点「物流
品質」に戻り、ロジスティクス現場
のコンサルティングの経験豊かな、平
居義徳経営コンサルタント・技術士
(生産管理部門)に「物流品質改革
のアプローチ」をテーマとしてご講
演いただいた。講演内容を報告する。
[ CLIP ]
日本のロジスティクスIT市場の現状オラクルの物流製品戦略責任者が解説
2008年3月号
日本オラクルはTMS(輸送管理シ
ステム)のグローバル・ロジスティク
ス・テクノロジーズ( G-LOG)を〇五
年に買収したことを機に、同分野へ
の取り組みを強化している。このた
び同社の物流製品戦略シニア・ディ
レクターが来日し、ロジスティクスI
T市場の現状を解説した。
││日本では最近WMSの売れ行き
がふるわず、TMSはまだマーケット
が立ち上がってもいない状態にあり
ます。
[ CLIP ]
「価値発現」のロジスティクスを解く 多摩大学大学院修士論文集の第二弾が刊行
2008年3月号
本書は、多摩大学大学院経営情
報学研究科CLO(チーフ・ロジ
スティクス・オフィサー)コース・
SCMドメインの修士論文集第二
集。ソニー・グループで調達・物流
を統括していた多摩大学研究開発
機構ロジスティクス経営・戦略研究
所所長の水嶋康雅教授が監修した。
[ ケース ]
ビジネスモデル トライネット・ロジスティクス
2008年3月号
専用岸壁にクレーン設置
千葉県の五井から姉崎にいたる東京湾沿岸
の市原地区は日本最大の石油コンビナート地
帯だ。主要な石化メーカーの工場が集積し、汎
用樹脂の生産量が国内で最も多い。その一角
にトライネット・ロジスティクスが、樹脂専用
の総合物流センター「市原インターモーダルタ
ーミナル(IMT)」の建設を進めている。
[ ケース ]
現場改善 富士物流
2008年3月号
TPSを物流に落とし込む
富士物流の収益性が向上している。二〇〇
七年三月期の業績は売上高が四一四億八八〇
〇万円で前期比四・九%増だったのに対して、
経常利益は五七・一%増の九億三八〇〇万円
と大幅に増加した。直近の〇八年三月期第3
四半期も、売上高は三〇六億七四〇〇万円
で前年同期比〇・六%減だったが、経常利益
は七億九〇〇〇万円と三四・五%増えている
。
[ ロジスティクス・システムの発展 ]
変異はどのようにして起こったか
2008年3月号
発注業務と保管業務という二つの部門間のトレー
ドオフの発見が、物流システム化の最初の一歩だった。
その歩みはやがて輸送、保管、包装、荷役、流通加工、
物流情報という諸要素間の複雑なトレードオフ問題へ
と発展していく。そこには潜在的な相互作用を顕在
化する「変異」と呼ばれるメカニズムが働いている。
[ データ ]
国土交通省 月例経済報告
2008年3月号
概要はありません
[ メディア批評 ]
取材は相手との一騎打ちと高言した田勢康弘今や見る影もない著名ジャーナリストの堕落
2008年3月号
いまからちょうど一〇年前に出た田勢康弘
著『ジャーナリストの作法』(日本経済新聞社)
に、こう書いてある。
「志は高く、視線は市井の目から、と思いつ
つ、ぼくはいまもジャーナリストとして生きて
いる。登り始めた山の頂はまだ遠く、いまなお、
道半ばである」
[ 海外Report ]
買収効果を活かせずに赤字に転落サプライチェーン統合で収益回復
2008年3月号
大手小売りの購買力に対抗するため、米事務用品・家庭用品メーカーのニューウェルラ
バーメイドは過去十年にわたって相次ぐ企業買収を断行した。その結果、売上規模は拡大
したが、収益面では赤字に転落。統合が後手に回り著しい非効率が発生していた。三期連
続の赤字決算という危機から同社を救ったのは、サプライチェーンの見直しを軸にした業
務改革だった。同社ヨーロッパのサプライチェーンを統括するビンセン・ウォーター副社長
がその軌跡を語る。
[ 現場改善 ]
小規模物流会社T社の事業承継
2008年3月号
シブヤ系の若き二代目が家業を継ぐことになった。地元
の中小荷主や路線業の下請け仕事をメーンとする年商二億
円の小規模物流企業だ。地元で一番の3PLに脱皮するこ
とを目指し、新たにセンター運営にも乗り出した。しかし、
背伸びは禁物だ。まずは経営の足場を固め、一つひとつ階
段を上っていく必要がある。
[ 値段 ]
日本通運
2008年3月号
二〇〇九年三月期を最終年度とする中期経
営計画は順調に進んでいる。施策の一つに掲
げる小口貨物事業の改革については、日本郵
政との宅配便事業統合を決めた。これは中期
経営計画の総仕上げともいえるが、未だ不透
明な要素が多い。
[ 道場 ]
物流センター問題を解く── その1
2008年3月号
物流センターを見直せ。上司からそう指示されたものの、ど
こから手をつければ良いのか分からない。迷える物流マンが大
先生の門を叩いた。物流センターとは、そもそも何のためにあ
るのか。そこから順に紐解いて行くことで、物流マンの眼前に
は思いもよらなかった景色がひろがっていくのであった。
[ 判断学 ]
よみがえる世界恐慌の危機
2008年3月号
サブプライム問題の出口が見えない。世界を代表する金融機関の倒産説までさ
さやかれ始めている。事態が収束しない一因はアメリカ政府の対応にある。しか
し本当の危機は、これが第二次世界大戦以来続いてきたドル支配体制の終焉の始
まりだということなのだ。
[ 物流IT解剖 ]
西濃運輸
2008年3月号
国内最大規模のホスト・マイグレーション(移行作業)によって、基幹システ
ムのコンピュータを汎用機からオフコンに置き換えた。同時に災害対策やインタ
ーネット対応の強化なども施したが、基幹システムの運用コストは年間6億円か
ら3億円に半減した。一連の取り組みは、情報子会社の売り上げを2割以上減ら
す構造改革でもあった。
[ 物流格差社会 ]
経営破綻したPCサクセス誤出荷頻発でクレーム殺到
2008年3月号
海外旅行に出るためにまとまった資金が必
要になったフリーターが、PCサクセスでアル
バイトを始めた。価格比較サイトでの徹底した
低価格戦略で一世を風靡したPCパーツのネッ
ト通販会社だ。一時は上場を視野に入れるも、
二〇〇七年二月に経営破綻。その物流現場で
は誤出荷や納期の遅れなど、ユーザーからのク
レームが絶えなかった。物流部に配属された著
者が自らの体験をレポートする。
[ 物流不動産市場レポート ]
三大都市圏 物流施設賃貸市況分析
2008年3月号
シービー・リチャードエリスと生駒データサービスシステムは、共同で「倉
庫・配送センター市況レポート」を年に二回発表している。国内主要都市の
倉庫等物流施設の市況動向を調査・分析したものだ。対象施設は三七九一棟
で、主用途が倉庫であり、かつ一般募集された施設が調査対象となる。そこ
で今回は物流不動産レポート特別編として、首都圏、中部圏、関西圏の三大
都市圏の最新の賃貸市況動向を中心に、物流不動産市場のトレンドを解説する。
[ 特集 ]
流通業の物流 メーカーを呑み込み垂直統合
2008年3月号
センターフィーで利ザヤを稼いでいるうちは、まだ可愛い。巨
大化した小売業は、流通の川上に遡り、メーカーを支配下に置き
始めている。SCMの主導権はカテゴリーシェアが握る。業態や業
種の違いは関係ない。メーカー、卸、小売り、物流企業まで入り
乱れ、サプライチェーンの覇権争いが激化している。
[ 特集 ]
流通業の物流 イオンが仕掛ける3兆円物流
2008年3月号
2007年8月、イオンは物流管理業務を分社化した。新たに発足
した機能子会社「イオングローバルSCM」は、店舗配送だけでな
く国際調達まで含むサプライチェーン全域の物流管理を担う。08
年度に約1.7兆円と見込んでいる商品通過額を、グループ企業や
提携企業の物流ニーズを取り込むことで2010年度には3兆円まで
拡大する方針だ。
[ 特集 ]
流通業の物流 「PBと圧倒的購買力がメーカーを襲う」直
2008年3月号
イオンの“需要集約”は一般に考えられている以上のイ
ンパクトを持っている。その販売力は閾値を超えた。もは
やトップメーカーでさえイオンの前にひれ伏すしかない。巨
大化した流通グループが市場を寡占化し、メーカーを系列
化する欧米型のサプライチェーンに、日本市場もシフトし
ていく。
[ 特集 ]
流通業の物流 センターフィー問題の本質と解決策
2008年3月号
センターフィー問題が深刻化している。小売業の多くが、
自社専用センターの運営費にマージンを上乗せした費用をベ
ンダーから徴収することで利ザヤ稼ぎに走っている。サプライ
チェーンの効率化は棚上げにされ、合理性を欠いた新たなリ
ベートがベンダーの収益を圧迫している。
[ 特集 ]
流通業の物流 「日本の中間流通は世界で通用する」
2008年3月号
巨大化して力を付けたチェーンストアはもはや卸売業を
必要としない。大手食品卸の菱食は1980 年代にはそう見
切りをつけていた。そして中堅の食品スーパーをメーンの
顧客業態として位置付け、そこで必要とされるIT と物流
機能の整備を地道に進めてきた。そのノウハウは世界で通
用すると自負している。
[ 特集 ]
流通業の物流 スケール活かして海外各地に混載拠点──DCM Japan
2008年3月号
ホームセンター最大手のDCM Japanホール
ディングス(DJホールディングス)は、カーマ、ダ
イキ、ホーマックの三社が経営統合し、〇六年に誕
生した。昨年には近畿を地盤とするオージョイフル
を子会社化してグループに迎え入れるなど規模拡大
を進めており、売上規模四〇〇〇億円の購買力を活
かした事業展開を行っている。各事業会社の商品も
九〇%を共通化した。